月: 2017年9月

55 Cancri e

(クレジット:Rina Maeda & SGH Moriyama High School)

55 Cnc e は、太陽系から 40.2 光年( パーセク)離れた恒星55 Cnc を周回する系外惑星で 2004 年に公開されました。恒星 55 Cnc は視等級 6.0, 絶対等級 5.5 です。この恒星は太陽の 1.0 倍の質量で、 半径は太陽の1.0 倍であり 表面温度は 5196 で、スペクトル型は K0IV-Vです。この恒星の惑星系で 55 Cnc e は、恒星 55 Cnc のまわりを 公転周期0.7 日で、 軌道長半径 0.02 天文単位 ( 2309641.5 km)で公転しています。

 

かに座-55eは地球から約40光年離れた、かに座55番星Aを公転する系外惑星です。かに座方向の夜空を眺めれば、肉眼でも観ることができます。質量は地球の8.1倍、直径は1.99倍の地球型惑星であり、いわゆるスーパーアース(巨大地球型惑星)です。ドップラー分光法で2004年8月30日に発見されました。

この惑星は、惑星質量の3分の1以上がダイヤモンドであり、表面はダイヤモンドと黒鉛で覆われているため、ダイヤモンド惑星とも呼ばれています。内部のダイヤモンドは地球上で見られるものより純度が非常に高いとされています。さらに深層部では、液体状態のダイヤモンドが存在している可能性があるとも言われています。

このかに座-55eは主星からの距離が233万㎞と非常に近く、公転周期が17時間41分、表面温度約2,000Kと推定されています。最近の発見によると、この惑星の大気は水素を多く含み、水蒸気が殆ど無い一方、シアン化水素を豊富に含むそうです。高温という条件に加えて、毒ガスであるシアン化水素が多く存在するため、生命が存在する可能性は低いかもしれません。また、主星との距離が近すぎるために、将来主星の重力によって潮汐破壊されるのではないかと考えられています。

(文責:高木風香)
(修正担当:野津湧太)

55 Cancri e の詳しい情報はこちら。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/55_Cnc_eJP.html

Beta Pictoris b がか座β星b

<Beta Pictoris b がか座β星b の想像図>

beta Pic b は、太陽系から 63.4 光年( パーセク)離れた恒星beta Pic を周回する系外惑星で 2008 年に公開されました。恒星 beta Pic は視等級 3.9, 絶対等級 2.4 です。この恒星は太陽の 1.7 倍の質量で、 半径は太陽の1.4 倍であり 表面温度は 8100 で、スペクトル型は A6Vです。この恒星の惑星系で beta Pic b は、恒星 beta Pic のまわりを 公転周期7707.0 日で、 軌道長半径 9.93 天文単位 ( 1485506856.1 km)で公転しています。

がか座β星bは、地球から63光年離れた、がか座β星から13.18天文単位離れた軌道を公転する惑星です。その大きさは木星の1.65倍、質量は木星の7倍で、2008年にヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)で惑星からの光を直接捉える直接撮像によって発見されました。惑星が自転するとき、ドップラー効果で惑星表面のうち観測者から遠ざかる部分からの光の波長は長く、反対に近づく部分からの光の波長は短くなります。この波長の変化(ドップラーシフト)を分光観測によって求めた結果、がか座β星bは8時間の周期で自転しており、赤道面での自転速度は時速100,000kmであることがわかりました。地球の自転速度は時速1,700km、木星は47,000kmで、太陽系の惑星は質量が大きいほど自転が速い傾向にあります。がか座β星bにも太陽系の惑星と同じ傾向が当てはまることから、この惑星質量と自転速度の関係が普遍的であることが示唆されます。

がか座β星の年齢は2000千万年と若く、その周りには1000天文単位にわたり塵円盤が広がっていて、まさに惑星形成が進行中の惑星系と言えます。惑星は時間経過とともに冷えて収縮すると考えられているので、がか座β星bの自転はこれによってさらに速くなると予想されます。
またこの惑星系では系外彗星が確認されていて、フランスの研究チームが行った493個の彗星の調査から、軌道が巨大惑星との重力相互作用を受けて様々な軌道を持つ古い彗星群と、もともとは1つの天体だったものが崩壊して多数の彗星になった群の2つの群が存在することがわかりました。前者の彗星群ではガスやダストの放出といった彗星活動が活発でないことから、何度も中心星の近くを通過して氷などの揮発性物質がすでに枯渇していると考えられています。後者の群では彗星活動が活発で、ほぼ同一の軌道を周っていることから、一つの大きな天体が分裂して生まれた群であると考えられます。
がか座β星系のような進化途中の若い惑星系は、45億年前に太陽系で何が起きていたかを知る上で非常に重要な研究対象です。

<文責:山中陽裕>

beta Pic b についての詳しい情報は以下のデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/beta_Pic_bJP.html

参考文献

http://www.eso.org/public/news/eso1414/

http://www.nature.com/nature/journal/v509/n7498/full/nature13253.html?foxtrotcallback=true

http://www.eso.org/public/news/eso1432/

Kepler-35(AB) b

(Kepler-35AB bの想像図 前田理那 SGH守山高校ハビタブル研究会)

Kepler-35bは地球から約5,365光年の距離にあり、はくちょう座の中にある巨大ガス惑星です。2012年にケプラー宇宙望遠鏡により発見されました。Kepler-35bは質量が本星の1/8、半径が地球の約8倍で土星サイズのガス惑星と考えられています。

Kepler-35bの注目すべき点は、周連星惑星(連星の周りを回る惑星)だということです。Kepler-35bの主星は両者ともG型星、太陽よりもやや小さな星で共通重心の回りを20日かけて公転し、その外側をKepler-35bが131日かけて公転しています。

周連星惑星は主星が1つの惑星と比べて軌道が安定しないため長い間その存在が議論されてもましたが、2011年にケプラー宇宙望遠鏡で周連星惑星Kepler-16bが発見されたことを皮切りに少しずつ発見され始めており、現在では主星を3つ、4つもつ惑星も発見されています。

Kepler-35(AB)bの主星であるKepler-35A、Kepler-35Bは両者とも太陽よりもやや小さいG型星(G型というのは恒星の分類法のー種で太陽もG型星に分類されます)で、互いに共通な重心の周りを20日かけて公転しています。

Kepler-35bには生命が存在するのでしょうか。Kepler-35bは木星や土星のようなガス惑星なので地球と同じような生命がいるとは考えにくいですが、ひょっとしたらアメリカの天文学者カールセーガン博士が想像したような気球形の生物なんかがいるのかもしれません。また、ガス惑星のまわりに巨大岩石衛星が存在する可能性も高く、そこに我々のような生命が存在するかもしれません。

銀河系内には周連星惑星が数百万個存在すると現在では考えられています。その中に生命を宿している惑星は存在するのでしょうか。

太陽が2つ連行する世界の生命、そんなものがいると考えるだけでもわくわくしますね。

(梨元昴・山敷庸亮)

Kepler-35 bについての情報は こちらから

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-35_(AB)_bJP.html