系外惑星の探し方

系外惑星を探す際の問題は、ひとことで言うと「暗すぎる惑星・明るすぎる中心星」です。例えば太陽系の場合、最大の惑星である木星ですらその明るさは太陽の明るさのわずか20億分の1しかありません。すなわち、系外惑星を直接撮像するということは、強烈に明るい電球のすぐ側にいる小さな虫を遠くから見つけようとするようなものであり、容易ではありません。

そこで、系外惑星の探査には主に「間接的な」手法が取られています。これは、惑星そのものの姿を画像として捉えることはできなくとも、観測データから間接的に惑星の存在をつかむ、という手法です。直接的な証拠は無いが状況証拠を積み重ねていくことで犯人を追い詰めていく、というようなやり方だと思っていただくとよいかもしれません。

以下では、間接法の中でも特によく用いられている2つの手法について簡単に紹介します。

 

1. 視線速度法(ドップラー法)

doppler1(credit: NASA)

太陽系について、私たちは「地球は太陽の周りを回っている」とよく言いますが、実はこれは正確にはちょっと間違っています。太陽が地球に重力を及ぼすのと同時に、地球も太陽に重力を及ぼしているため、太陽と地球はともに互いの「共通重心」の周りを回ることになります。ただし、太陽の方が地球よりも圧倒的に重いため、共通重心は太陽の中心のすぐ近くにくることになり、結果的にほとんど「地球は太陽の周りを回っている」という状況になっているのです。

さて、以上のことは、系外惑星とその中心星についても同様で、惑星と中心星は互いに共通重心の周りを回ることになります。つまり、惑星が存在することで、中心星もわずかに「揺れる」ことになるわけです。この揺れを検知することができれば、間接的に惑星の存在の証拠をつかむことが可能です。

ところが、実際にはこの揺れは極めて小さく、また地球からもはるか遠い距離にあるため、天球上での位置のズレとして捉えることはかなり難しいといえます。そこで編み出されたアイデアが、「ドップラー効果」を用いてこの揺れを検知しようというものです。

ドップラー効果とは、観測者に対して波(音や光など)が近づいたり遠ざかったりする際に、波長が伸び縮みすることで異なる波長の波が観測される、というものです。救急車のサイレンの音が、近づいてくるときと遠ざかるときとで変わる、というのが最も身近なドップラー効果の例かと思います。

観測者(地球)に対して、系外惑星を持つ中心星が視線方向に揺れると、それに伴い中心星から届く光の波長が伸び縮みします。周期的に光の波長が伸び縮みするのを観測することができれば、その星は周期的に揺れている、すなわちその星の周りに重力を及ぼす天体(惑星)が存在する、ということが間接的に示されることになります。これが視線速度法、あるいはドップラー法と呼ばれる系外惑星の探査手法です。

ちなみに、惑星からの重力が大きいほどドップラー効果は大きくなります。また、光の波長の伸び縮みの周期は、惑星が中心星の周りを回る周期で決まることは明らかです。よって、視線速度法によって系外惑星を発見した場合、単なる発見にとどまらず、その惑星の質量や軌道周期まで推定することが可能です。

 

2. トランジット法

transit-352(credit: NASA)

惑星の軌道面がちょうど観測者(地球)の視線方向にある場合、その惑星は周期的に中心星の目の前を横切ることになります。その際、中心星から地球に届く光は惑星のサイズ分だけ「隠される」ことになります。地球上でときおり観測される「日食」のミニバージョンだと思ってもらうとわかりやすいかもしれません。

この「プチ日食」により、中心星から届く光の量が周期的に減少するのを捉えて、間接的に惑星の存在の証拠をつかむ手法をトランジット法と呼びます。トランジット法の素晴らしいところは、単に系外惑星を発見するにとどまらず、その惑星に関する様々な情報を引き出すことができる点だといえます。

トランジットによる周期的な光の減少の程度は、惑星のサイズによって決まります。例えば、もともとの中心星からの光の量から1%分だけ暗くなったとすると、目の前を横切っている惑星のサイズは中心星のサイズの1%程度であることがわかります。すなわち、トランジット法によって系外惑星を発見した場合、その惑星のサイズを推定することが可能となります。

さらに、トランジット法で発見された惑星について視線速度を測定してあげれば、「1. 視線速度法」の項で述べた通りその惑星の質量を推定することができます。質量とサイズの両方がわかれば、その惑星の密度がわかります。つまり、その惑星が何でできているのか(岩石惑星なのか、氷の塊なのか、大量のガスをまとっているのか、など)が推定できることになるのです。

また、目の前を横切っている惑星が大気を持っていた場合には、中心星から地球に届く光の一部が惑星の大気の中を通過してくることになるため、光の成分を詳しく分析することで、その惑星の大気成分を推定することまで可能となります。

それから、ここでは詳しく説明しませんが、トランジットとは逆に惑星が中心星の裏に隠れる場合(二次食と呼びます)のデータも用いると、惑星表面の温度についても推定することができます。

間接的にその存在の証拠をつかんだだけの系外惑星について、これだけの様々な情報を引き出すことのできるトランジット法は、系外惑星の個々の特徴を調べる上で非常に強力な手法といえるでしょう。

(文責:佐々木貴教)

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