<Beta Pictoris b がか座β星b の想像図>
beta Pic b は、太陽系から 63.4 光年( パーセク)離れた恒星beta Pic を周回する系外惑星で 2008 年に公開されました。恒星 beta Pic は視等級 3.9, 絶対等級 2.4 です。この恒星は太陽の 1.7 倍の質量で、 半径は太陽の1.4 倍であり 表面温度は 8100 で、スペクトル型は A6Vです。この恒星の惑星系で beta Pic b は、恒星 beta Pic のまわりを 公転周期7707.0 日で、 軌道長半径 9.93 天文単位 ( 1485506856.1 km)で公転しています。
がか座β星bは、地球から63光年離れた、がか座β星から13.18天文単位離れた軌道を公転する惑星です。その大きさは木星の1.65倍、質量は木星の7倍で、2008年にヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡(VLT)で惑星からの光を直接捉える直接撮像によって発見されました。惑星が自転するとき、ドップラー効果で惑星表面のうち観測者から遠ざかる部分からの光の波長は長く、反対に近づく部分からの光の波長は短くなります。この波長の変化(ドップラーシフト)を分光観測によって求めた結果、がか座β星bは8時間の周期で自転しており、赤道面での自転速度は時速100,000kmであることがわかりました。地球の自転速度は時速1,700km、木星は47,000kmで、太陽系の惑星は質量が大きいほど自転が速い傾向にあります。がか座β星bにも太陽系の惑星と同じ傾向が当てはまることから、この惑星質量と自転速度の関係が普遍的であることが示唆されます。
がか座β星の年齢は2000千万年と若く、その周りには1000天文単位にわたり塵円盤が広がっていて、まさに惑星形成が進行中の惑星系と言えます。惑星は時間経過とともに冷えて収縮すると考えられているので、がか座β星bの自転はこれによってさらに速くなると予想されます。
またこの惑星系では系外彗星が確認されていて、フランスの研究チームが行った493個の彗星の調査から、軌道が巨大惑星との重力相互作用を受けて様々な軌道を持つ古い彗星群と、もともとは1つの天体だったものが崩壊して多数の彗星になった群の2つの群が存在することがわかりました。前者の彗星群ではガスやダストの放出といった彗星活動が活発でないことから、何度も中心星の近くを通過して氷などの揮発性物質がすでに枯渇していると考えられています。後者の群では彗星活動が活発で、ほぼ同一の軌道を周っていることから、一つの大きな天体が分裂して生まれた群であると考えられます。
がか座β星系のような進化途中の若い惑星系は、45億年前に太陽系で何が起きていたかを知る上で非常に重要な研究対象です。
<文責:山中陽裕>
beta Pic b についての詳しい情報は以下のデータベースページをご覧ください。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/beta_Pic_bJP.html
参考文献
http://www.eso.org/public/news/eso1414/
http://www.nature.com/nature/journal/v509/n7498/full/nature13253.html?foxtrotcallback=true