月: 2018年7月

K2-9b

K2ミッションキャンペーン1において、恒星31個に対し惑星候補天体が36個発見された。そこで地上観測データと、トランジット自動解析スキームの補償光学画像を組み合わせることで、初めて発見された17天体を含む21の候補天体が惑星であることが確認された。その中の一つがK2-9bである。K2-9はM2.5 ± 0.5、110 ± 12 pcの矮星で、ホスト星のスペクトルから惑星半径は2.25(+0.53−0.96) R⊕ で、公転周期は18.4498日であることがわかった。恒星からの入射フラックスは低いため、K2-9bの平衡温度は500K未満と推定され、ほぼ地球と同じような日射を受けていると考えられる。その一方で紫外線宇宙望遠鏡GALEXによると、ホスト星からのUVが非常に強いため、惑星の大気はその影響を受け、生き物が生存するには厳しい環境であるだろう。この地球から海王星サイズの半径をもつ、小さくて温度の低い惑星には、まだまだ研究の余地がある。

(文責・木村なみ)

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K2-9 b (exoplanetkyoto.org)

参考文献)
Two Small Temperate Planets Transiting Nearby M Dwarfs in K2 Campaigns 0 and 1
Schlieder, Joshua E et al.
Publication:
The Astrophysical Journal, Volume 818, Issue 1, article id. 87, 15 pp. (2016).
Pub Date: February 2016

補足)

・K2-9bはK2キャンペーン1で発見されたM2.5 ± 0.5、110 ± 12 pcの矮星である。
・K2-9bは Montet et al. (2015)にて初めて確認された。
・ホスト星のスペクトルと補償光学イメージングによると、惑星半径は2.25+0.53−0.96 R⊕ で、公転周期は18.4498日である。
・またK2-26bについて、恒星半径にしてはトランジット通過時間が長いので、円軌道ではなく、偏心軌道であるかもしれない。
・K2-9b とK2-26bの恒星からの入射フラックスは低く、平衡温度は<500Kと推定される。K2-9bはほぼ地球と同じような日射を受ける可能性がある。
・その一方で紫外線宇宙望遠鏡GALEXによると、ホスト星からのUVが非常に強いため、惑星の大気はその影響を受けている可能性がある。
・どちらの惑星も、地球から海王星サイズの半径をもつ、小さくて温度の低い惑星と考えられ、まだまだ研究の余地がある。

Kepler-155 c

Kepler-155 c は、太陽系から 985.0 光年( 302パーセク)離れた恒星Kepler-155 を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 Kepler-155 は視等級 12.5, 絶対等級 5.1 である. この恒星は太陽の 0.6 倍の質量で、半径は太陽の0.6 倍であり 表面温度は 4508 で、スペクトル型は K4である。 この恒星の惑星系で Kepler-155 c は、恒星 Kepler-155 のまわりを 公転周期52.7 日で、 軌道長半径 0.24 天文単位 ( 36,202,684.7 km)で公転している。

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Kepler-155 c (exoplanetkyoto.org)

Kepler-235 e

Kepler-235 e は、太陽系から 1712.3 光年( 525パーセク)離れた恒星Kepler-235 を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 Kepler-235 は視等級 14.0, 絶対等級 5.4 である. この恒星は太陽の 0.6 倍の質量で、 半径は太陽の0.6 倍であり 表面温度は 4255 ケルビンで、スペクトル型は K6である。 この恒星の惑星系で Kepler-235 e は、恒星 Kepler-235 のまわりを 公転周期46.2 日で、 軌道長半径 0.21 天文単位 ( 31,864,346.5 km)で公転している。

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Kepler-235 e (exoplanetkyoto.org)

GJ 625 b

惑星GJ 625 bは、地球から約21.2光年のGJ 625というM矮星の周りの軌道上にあります。それは地球の質量の少なくとも2.8倍であると考えられ、14.6地球日でその軌道を周回しています。 その発見についてはarXivで見ることができ、Canary Islands Institute of Astrophysicsにより主導されますが、Astronomy and Astrophysics誌に掲載される予定です。

GJ 625 bは主星のハビタブルゾーンの内側に位置しており、温度は液体の水が存在するのに適しています。約0.08 AU(天文単位、1 AUは地球から太陽までの距離)の距離で周回します。 「GJ 625 bは、近くのM-矮星のハビタブルゾーンにある小さなスーパーアースである」とカナリア諸島天体物理学研究所の筆頭著者Alejandro SuarezMascareñoがIFLScienceに「M-矮星周辺の小型外惑星の最後に見つかった輪の後でさえ、この種の星の周りで知られている岩石の惑星の数は比較的少ない」と語っています。

GJ 625 bについてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

GJ 625 b (exoplanetkyoto.org)

ジャーナル記事

1.) HADES RV Programme with HARPS-N at TNG V. A super-Earth on the inner edge of the habitable zone of the nearby M-dwarf GJ 625

2.) Equilibrium Temperatures and Albedos of Habitable Earth-Like Planets in a Coupled Atmosphere-Ocean GCM

WEB 記事

1.) Super-Earth Discovered Around Nearby Red Dwarf Star

2.) A new Super-Earth discovered near the habitable zone of a cool star.

CoRoT 10 b

(Corot 10b の想像図 Ryusuke Kuroki, Fuka Takagi and Yosuke A. Yamashiki)

CoRoT-10 b は、太陽系から 1125.2 光年( パーセク)離れた恒星CoRoT-10 を周回する系外惑星で 2010 年に公開されました。恒星 CoRoT-10 は視等級 15.2, 絶対等級 7.5 です。この恒星は太陽の 0.9 倍の質量で、 半径は太陽の0.8 倍であり 表面温度は 5075 で、スペクトル型は K1Vです。この恒星の惑星系で CoRoT-10 b は、恒星 CoRoT-10 のまわりを 公転周期13.2 日で、 軌道長半径 0.11 天文単位 ( 15782575.4 km)で公転しています。

COROT-10bは、CoRoT衛星(Kepler宇宙望遠鏡に先駆けて、トランジット法による惑星探査を実施した衛星)が2007年に行った142日間の観測で発見された巨大惑星です(2010年に報告)。惑星半径は0.97木星半径で、中心星COROT-10の周りを周期13.4日で周回しています。中心星のCOROT-10は太陽より質量・半径ともやや小さい(質量0.89倍, 半径0.79倍)K1型星(表面温度5075K)星です。

特筆すべき事としては、この惑星の公転軌道の離心率が0.53±0.04と非常に大きく、真円から大きく離れた楕円軌道を取っていることが挙げられます。このような大きな離心率を持っている巨大惑星がなぜ存在しているかということは、惑星系形成過程を考える上で興味深いと言えます。

(Yuta Notsu)

CoRoT-10 bについてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

CoRoT-10 b (exoplanetkyoto.org)

ジャーナル記事

1.) Transiting exoplanets from the CoRoT space mission X. CoRoT-10b: a giant planet in a 13.24 day eccentric orbit

WEB記事

1.) CoRoT-10 b

2.) Planet CoRoT-10 b

論文

https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2010/12/aa14943-10/aa14943-10.html