カテゴリー: 系外惑星の紹介

HD 104985 b

HD 104985 b は、太陽系から 316.7 光年( パーセク)離れた恒星HD 104985 を周回する系外惑星で 2003 年に公開されました.恒星 HD 104985 は視等級 5.8, 絶対等級 0.9 です.この恒星は太陽の 1.6 倍の質量で、 半径は太陽の10.9 倍であり 表面温度は 4786 で、スペクトル型は G9 IIIです。この恒星の惑星系で HD 104985 b は、恒星 HD 104985 のまわりを 公転周期199.5 日で、 軌道長半径 0.95 天文単位 ( 142117977.2 km)で公転しています。

【HD 104985 b概要】

HD 104985は、きりん座の6等星(視等級)で地球から約317光年離れた場所にあります。この恒星から1天文単位より少し内側に公転軌道を持つ惑星がHD 104985 bです。HD 104985 bの半径は木星とほぼ同じで、質量は木星の8.3倍です。太陽系で例えると金星と地球の軌道の間にある木星サイズの惑星がHD 104985 bであり、地球とほぼ同じ距離を回っていますが、中心星が非常に巨大なため灼熱環境であると考えられます。

【日本で初めて検出された系外惑星 〜世界に示した独自性〜】

HD 104985 bは、岡山天体物理観測所の所有する188 cm反射望遠鏡で視線速度法により検出され、2003年に国立天文台に所属していた佐藤文衛氏(現東京工業大学)らによって発表されました。これは日本で初めての系外惑星の検出で、国内外で大きな注目を集めました。1995年に系外惑星が世界で初めて観測されて以来、熾烈な“プラネットハンティング競争”が世界中で行われていましたが、そこに日本も名乗りを上げることとなりました。

それまでの観測では太陽に似た星をターゲットにしていましたが、佐藤氏らは巨星という、進化が進み大きく膨れ上がった星の周りで惑星探査をはじめました。実際にHD 104985の半径は太陽の10.6倍で、佐藤氏らが観測候補として挙げていた巨星の中の1つでした。その後2年間の粘り強い観測の結果、見事巨星周りでも系外惑星が存在することを証明し系外惑星探査における日本の独自性をアピールしました。

【岡山天体物理観測所188 cm反射望遠鏡 〜半世紀に渡って日本の天文観測を支えた望遠鏡〜】

国立天文台のプロジェクトの一つである岡山天体物理観測所は、1962年に岡山県浅口市で観測を開始しました。プロジェクトとしての運用を終える2018年まで、約56年間に渡って優れた光赤外線天文観測所として多くの研究者に利用されてきました。この観測所で最も大きい望遠鏡が188 cm反射望遠鏡であり、数多くの重要な発見に貢献しています。特に系外惑星の発見は著しく、他の望遠鏡との共同観測も含めると現在までに58個の新たな系外惑星の発見に貢献しています。

(188cm望遠鏡の概要・功績の詳細はこちらを参照ください)

188cm反射望遠鏡(https://www.nao.ac.jp/research/telescope/188cm.html

プロジェクト終了後、岡山天体物理観測所の望遠鏡は運用に携わっていた各大学の研究者に専用望遠鏡として引き継がれました。現在は、ドームの故障により188 cm反射望遠鏡は運用を停止しています。復旧作業が終わり、もう一度188 cm反射望遠鏡の活躍する姿が見られることを期待していましょう。

【京都大学岡山天文台せいめい望遠鏡 〜東アジア最大級の望遠鏡〜 】

188 cm望遠鏡のあとを継ぐように2019年に新たに岡山で運用が開始された望遠鏡があります。それが京都大学の所有するせいめい望遠鏡です。これは主鏡に口径3.8メートルの18枚複合鏡を持つ東アジア最大の望遠鏡です。(“最大”または“最大級”のどちらであるかについては諸説あり。詳細はこちらを参照ください。)

せいめい望遠鏡(筆者撮影)

この「せいめい望遠鏡」という名前は、平安時代の陰陽師 安倍晴明に由来しています。全国で天体観測を行っていた安倍晴明は、現在の岡山天文台から北西にある阿部山の山頂付近に天体観測のための住居を構えていたとされています。そんな岡山にゆかりを持つ天文研究の大先輩である安倍晴明にちなんで「せいめい望遠鏡」と名付けられたのです。

せいめい望遠鏡でも系外惑星の探査・観測は行われており、2023年度後期からは新しくGAOES-RVという高分散分光器が運用を開始します。高分散分光器とは、望遠鏡の集めた光を波長ごとに分けて検出する装置で、視線速度法を用いた系外惑星の観測には欠かすことができません。今までの高分散分光器に比べて性能が向上し、GAOES-RVはより暗い星での系外惑星観測ができるようになると言われています。

(GAOES-RVの詳細はこちらを参照ください。)

日本初の系外惑星の検出から最新の観測装置まで、系外惑星探査の軌跡を辿ってきました。系外惑星の魅力は語り尽くせませんが、それらを発見している望遠鏡や観測装置にもまた違った魅力があります。みなさんが少しでも興味を持たれたならば、夜空に浮かぶ満点の星空だけではなく、地上に構える“大きな目”にも注目してみてはいかがでしょうか。

(文責:渡邊新)

HD 104985 bの詳細な情報はこちら

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/HD_104985_bJP.html

WASP-121 b

WASP-121 b は、太陽系から 853.8 光年( パーセク)離れた恒星WASP-121 を周回する系外惑星で 2015 年に公開されました.
恒星 WASP-121 は視等級 10.4, 絶対等級 3.3 です.
この恒星は太陽の 1.4 倍の質量で、 半径は太陽の1.5 倍であり 表面温度は 6460 で、スペクトル型は F6Vです。
この恒星の惑星系で WASP-121 b は、恒星 WASP-121 のまわりを 公転周期1.3 日で、 軌道長半径 0.03 天文単位 ( 3805769.8 km)で公転しています。

公転と自転周期がほぼ同時のホット・ジュピター。昼半球と夜半球の気温差によりルビーやサファイアの雨?

2015年に太陽系外惑星探査プロジェクトスーパーWASPによる観測で発見された。
地球から「とも座」の方向におよそ880光年離れた位置にある灼熱巨大ガス惑星で、F型主系列星WASP-121の周囲を公転している。質量は木星の約1.2倍、半径は木星の約1.8倍で、恒星(WASP-121)から380万kmとかなり近い距離を1日余り(約30時間)で公転する。表面温度は約2000 K、上層大気は約2500Kにもなる「ホット・ジュピター」の一つ。
自転周期が公転周期とほぼ同じで、半面は常に恒星を向く昼半球(もう半面は常に外を向く夜半球)となるのが特徴的。
夜半球ですら気温が1500℃を超えるので、地球の様な水の雲ではなく、鉄やマグネシウム、クロム、バナジウムといった金属で構成される雲が存在している。
2017年、ハッブル宇宙望遠鏡による観測でWASP-121 bの大気組成が水蒸気、酸化バナジウム(II)、酸化チタン(II)が含まれている事が明らかになり、成層圏が存在することはほぼ間違いないとされる。

2019年、恒星に近いことから潮汐力によってWASP-121 bは引き裂かれる寸前といえる状態で、フットボールのような形状になっていると考えられる。David Sing氏らはハッブル宇宙望遠鏡に搭載されている「宇宙望遠鏡撮像分光器(STIS)」の観測データを使い、雲のなかに凝縮している鉄やマグネシウムといった金属までもが、軽い元素(水素やヘリウム)とともに惑星から離れた宇宙空間へ流出していることを確認した。

2022年、ハッブル宇宙望遠鏡でWASP-121 bの昼半球と夜半球の両方のスペクトル解析により、地球とは異なる水循環が確認された。常に恒星を向く昼半球では上層大気の温度が最大で3000℃を超え、水は蒸発してさらに水素と酸素に分解される。一方、夜半球の上層気温は1500℃にまで下がるため、昼半球と夜半球で1500℃も気温差が生まれることで強風が吹き抜け、水素と酸素を夜半球まで運び、夜半球側で水素と酸素が再結合して水蒸気となり、そのまま再び昼半球に吹き込むという循環をもつ。天文物理学者のTansu Daylan氏によると、この強風は20時間程度で惑星全体の雲を移動させることができるとされる。
WASP-121 bにて様々な金属元素(バナジウム、鉄、クロム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、ニッケルなど)は確認されたが、アルミニウムやチタンが検出されなかった。研究チームはアルミニウムやチタンが凝縮し地表に降り注いでしまったためだと推測し、アルミニウムは大気中の酸素と凝結すると「コランダム」という鉱物になり、コランダムにクロムや鉄、チタン、バナジウムなどの不純物が含まれるとルビーやサファイアになるため、WASP-121 bの夜半球に液体のルビーやサファイアが雨となって降り注いでいる可能性があると推測した。

Delrez, L. et al. (2016). “WASP-121 b: a hot Jupiter close to tidal disruption transiting an active F star”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 458 (4): 4025-4043. arXiv:1506.02471. Bibcode: 2016MNRAS.458.4025D. doi:10.1093/mnras/stw522. ISSN 0035-8711.
Evans, Thomas M. et al. (2017). “An ultrahot gas-giant exoplanet with a stratosphere”. Nature 548 (7665): 58-61. arXiv:1708.01076v1. Bibcode: 2017Natur.548…58E. doi:10.1038/nature23266. ISSN 0028-0836.
David K. Sing. et al. (2019). “The Hubble Space Telescope PanCET Program: Exospheric Mg ii and Fe ii in the Near-ultraviolet Transmission Spectrum of WASP-121b Using Jitter Decorrelation”.The Astronomical JournalVolume 158Number 2https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/ab2986/pdf
Mikal-Evans, T., Sing, D.K., Barstow, J.K. et al. Diurnal variations in the stratosphere of the ultrahot giant exoplanet WASP-121b. Nat Astron 6, 471–479 (2022).https://doi.org/10.1038/s41550-021-01592-w An exotic water cycle and metal clouds on the hot Jupiter WASP-121 b | Max Planck Institute for Astronomy (mpia.de)

(文責:小川)

Imaginary picture of WASP-121 b

Imaginary Picture of WASP-121 b: Illustrated by Yuna Watanabe

TRAPPIST-1 系

(Imaginary TRAPPIST-1 System by Exoplanetkyoto Image Credit: Yosuke A. Yamashiki, Fuka Takagi, Ryusuke Kuroki, Natsuki Hosono)

trappist_d
(Imaginary Picture of TRAPPIST-1 d, Credit Shione Fujita & SGH Moriyama High School)

TRAPPIST-1 は、みずがめ座に位置し、太陽系からおよそ39光年離れたところに存在する、M8型の赤色矮星で、表面温度2550K、半径はProxima Centauriより小さい0.117太陽半径、質量は0.08太陽質量です。木星の半径は0.1太陽半径、質量は0.001太陽質量なので、見かけ上木星よりわずかに大きく、質量は木星の80倍程度なので、いわゆる自分で光るギリギリの大きさの恒星(矮星)だと言えます。Ultra Cool Dwarf Star(超低温矮星)とも言われています。

(TRAPPIST-1の大きさの比較図 左はProxima Centauri星との比較、右は太陽との比較)

TRAPPISTとは、TRAnsiting Planets and PlanetesImals Small Telescopesの略で、ベルギー・リエージュ大学(http://www.ulg.ac.be/cms/c_5000/accueil)の天文地学海洋専攻(AGO)のプロジェクトでチリのESO La Silla 天文台 とモロッコのOukaïmden 天文台(2016.10.6開始)に設置された望遠鏡ネットワークであり、このTRAPPIST-1は2016年にLa Silla天文台で発見され、地球よりわずかに大きな惑星が3つ、このクラスの赤色矮星の周りに初めて発見されました1) 。さて、特にこのTRAPPIST-1系のハビタブルゾーンにあると言われた3番目の惑星TRAPPIST-1dのトランジット観測による周期と軌道が確定せず、ハビタブルゾーンの惑星発見のニュースはキャンセルされるかと心配されていました。ところがそれがさらなる大発見につながったのです。

2017年2月22日(日本時間2月23日午前3時)、NASAはTRAPPIST系に合計7つの惑星が発見されたと発表しました。また、そのうち3-4つはハビタブルゾーンにあると考えられています。

(Imaginary Picture of TRAPPIST-I b, credit, Yosuke Yamashiki, Ryusuke Kuroki & Natsuki Hosono)

<潮汐ロックされたと仮定した場合のTRAPPIST-1 dの想像図 credit: Miu Shimizu, Habitable Research Group SGH Moriyama High School>

<潮汐ロックされたと仮定した場合のTRAPPIST-1 eの想像図 credit: Rina Maeda, Habitable Research Group SGH Moriyama High School>

<TRAPPIST-1 eの想像図 credit: Yui Nagato, Habitable Research Group SGH Moriyama High School>

(潮汐ロックされたと仮定した場合のTRAPPIST-1 fの想像図 (アイボールアース), credit: Haruka Inagaki, Habitable Research Group, SGH Moriyama High School)

(Imaginary Picture of TRAPPIST-I h, covered with imaginary ice, credit, Yosuke Yamashiki, Ryusuke Kuroki & Natsuki Hosono)

(TRAPPIST-1の7つの惑星群の公転の状況)

それぞれの公転軌道半径は(TRAPPIST-1 b, c, d, e, f, g, hの順で) 0.011, 0.015, 0.021, 0.028, 0.037, 0.045, 0.063 天文単位に存在し、半径はそれぞれ地球の1.08, 1.05, 0.77, 0.92, 1.04, 1.12, 0.76倍と、ほぼ地球の大きさに等しいと見積もられています。この星のハビタブル・ゾーンは太陽系相当天文単位(SEAU)によると、
金星相当軌道 0.016 天文単位
地球相当軌道 0.023天文単位
火星相当軌道0.035天文単位
trappist-1_d_orbh

(SEAUによるハビタブルゾーンの位置)

Kopparapu et al.2013によると
内側境界Recent Venus 0.019天文単位
地球サイズ惑星の暴走温室限界 0.024天文単位
外側境界最大温室限界0.048天文単位
trappist-1_d_orbk

(Kopparapu et al. によるハビタブルゾーンの位置)

となっており、SEAUによると、bは内側境界の内側で温度は高く、c, d, eはハビタブル・ゾーンに存在すると考えられています。

(SEAUによるハビタブルゾーンとTRAPPIST-1b,c,d,e,f,g,hの軌道位置,赤線が金星相当軌道,緑が地球相当軌道,水色が火星相当軌道,青がスノーライン)

ただし、TRAPPIST-1 bにおいても、潮汐ロックされているとすれば、惑星の昼半球と夜半球の境界領域にハビタブル・ゾーンが存在する可能性が指摘されており、また、他のf,gについてもスノーラインの内側にあり、潮汐力や内部の熱源などあれば、ハビタブルゾーンと考えられる可能性もあります。

また、Kopparapu et al.2013によると、ハビタブルゾーンにある惑星は、d, e, f ,g となり、先ほどのcは内側境界の中に位置してしまいます。TRAPPIST-I dはしかしながらRecent Venusの内側に位置はしますが、暴走温室限界線の内側にあるので、そのままでは海洋は存在できませんが、潮汐ロックされている場合境界領域(terminator)に狭い海が存在しうるとも考えられます。TRAPPIST-I gはしかしながら、外側境界最大温室限界付近のため、十分な温室効果ガスがある場合のみ居住可能だと考えられます。

(Kopparapu et al. 2013 によるハビタブルゾーンとTRAPPIST-1b,c,d,e,f,g,hの軌道位置,赤線がRecent Venus境界線、緑色が薄い色からそれぞれ火星・地球・スーパーアースサイズの暴走温室限界線,その外側の薄青色が最大温室効果限界線(Maximum G), その外側の青が初期火星線(Early Mars)。この判定によるとTRAPPIST-1 e, f, gがハビタブルゾーンとなる)

NASAの公式ページには、カラフルなイメージ図やVR, 3Dイメージなども公開されています。

https://exoplanets.nasa.gov/trappist1/

カリフォルニア工科大学のジェット推進研究所(JPL)-Spitzer宇宙赤外望遠鏡のページによると、TRAPPIST-1の惑星のほとんどすべてが潮汐ロックされており(すなわち、常に中心星TRAPPIST-1に同じ面を向けており)、乾燥して暑い(熱い)昼半球と、寒くて氷に覆われているであろう夜半球にわかれているだろうとされています。ハビタブルゾーンに存在する惑星はTRAPPIST-1 e, f, gであるが(b-hの)いずれの惑星も液体の水が潜在的に存在する可能性があるとされている。また境界領域(terminator)に海が存在するのはTRAPPIST-1dで、海が広く存在する可能性のあるTRAPPIST-1e,fでも昼半球に集中しており、夜半球は氷で覆われているであろう、と解説がされています。このページではTRAPPIST-1 bは木星の衛星イオ(Io)のようであり、また最も寒いTRAPPIST-1 hはエウロパ(Europa)のように描かれています。

http://www.spitzer.caltech.edu/images/6266-ssc2017-01a-TRAPPIST-1-Planet-Lineup

2018年2月のより詳細な調査結果によって、いくつかの惑星は地球よりも水を大量に保有している可能性も示唆されています。より中心星に近いb,cでは水蒸気、d,e,fでは液体と氷、そしてgは大部分が氷としてでしょう。この詳細調査によって、それぞれの惑星の密度がより正確に求められました。現在ではTRAPPISTシステムは最もよく観測された惑星システムの一つといえます。

七つの地球サイズの惑星にそれぞれ液体の水が存在する可能性のある惑星系というのは、非常に興味深い惑星系です。また赤色矮星の寿命は太陽とくらべて桁違いに長いので、もしかすると非常に長い間進化した安定的な生命体が文明を築き、それぞれの惑星間で文明交流を繰り返しながら今後も長きにわたって存在してゆく、「理想郷」なのかもしれません*。
(文責:山敷庸亮)

TRAPPIST-1についての詳しいデータは以下のデータベースに

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/TRAPPIST-1.html

* 実際に理想郷かどうかについて、以下のような懸念と論点もあります(野津翔太・山敷庸亮)

1) M型星は黒点活動・フレア等が太陽型星より活発であり、ハビタブルゾーンでの紫外線・X線強度などが強い。それらがハビタビリティにどう影響するかは不明。惑星大気が剥ぎ取られている可能性も否定できないが、逆に厚い大気に覆われていれば、これらが高エネルギー電磁波のシールドになる可能性もある。ただし、潮汐ロックされているとすれば、地磁気が存在しない可能性もあるため、その点では荷電粒子の直撃を受ける可能性も高い。
2) M型星の中でも低温側の星は全球対流状態にあると同時に、自転・活動性の振る舞いがM型の高温側の星に比べて良く分かっていない部分もあるため、実際どの程度このTRAPPIST-1が上記の活動があるのかはわからない。

なお、イラストにおいてexoplanetkyoto のページでは、潮汐ロックは起こりうるであろうが、それぞれ自転している惑星を想定しての想像図となっています

以下、Stellar Windowを利用して表示したTRAPPIST-1の星図上での位置。

trappist-1_d_stz0
(Position in Stellar Map of star TRAPPIST-1 and its Exoplanet TRAPPIST-1 b,c,d,e,f,g,h)
trappist-1_d_stz3
(Zoomed pos.in Stellar Map of star TRAPPIST-1 and its Exoplanet TRAPPIST-1 b,c,d,e,f,g,h)

1)Michaël Gillon, Emmanuël Jehin, Susan M. Lederer, Laetitia Delrez, Julien de Wit, Artem Burdanov, Valérie Van Grootel, Adam J. Burgasser, Amaury H. M. J. Triaud, Cyrielle Opitom, Brice-Olivier Demory, Devendra K. Sahu, Daniella Bardalez Gagliuffi, Pierre Magain & Didier Queloz. Temperate Earth-sized planets transiting a nearby ultracool dwarf star, Nature 533, 221–224 (12 May 2016) doi:10.1038/nature17448, Received 11 January 2016 Accepted 18 February 2016 Published online 02 May 2016
http://www.nature.com/nature/journal/v533/n7602/full/nature17448.html

https://www.theguardian.com/science/2016/may/02/could-these-newly-discovered-planets-orbiting-an-ultracool-dwarf-host-life

2)Michaël Gillon, Amaury H. M. J. Triaud, brice-Olivier Demory, Emmanuël Jehin1, Eric Agol, Katherine M. Deck, Susan M. Lederer, Julien de Wit, Artem burdanov, James G. Ingalls, Emeline bolmont, Jeremy Leconte, Sean N. Raymond, franck Selsis, Martin Turbet, Khalid barkaoui, Adam burgasser, Matthew R. burleigh, Sean J. Carey, Aleksander Chaushev, Chris M. Copperwheat, Laetitia Delrez, Catarina S. fernandes, Daniel L. Holdsworth, Enrico J. Kotze, Valérie Van Grootel, yaseen Almleaky, Zouhair benkhaldoun, Pierre Magain & Didier Queloz. Seven temperate terrestrial planets around the nearby ultracool dwarf star TRAPPIST-1. Nature 542, 456–460 (23 February 2017) doi:10.1038/nature21360.

Received Accepted Published online 

http://www.nature.com/nature/journal/v542/n7642/full/nature21360.html

Proxima Centauri d

Proxima Centauri d は、太陽系から 4.2 光年( パーセク)離れた恒星Proxima Centauri を周回する系外惑星で 2020 年に公開されました.
恒星 Proxima Centauri は視等級 11.1, 絶対等級 15.6 です.
この恒星は太陽の 0.1 倍の質量で、 半径は太陽の0.1 倍であり 表面温度は 3050 で、スペクトル型は M5.5Vです。
この恒星の惑星系で Proxima Centauri d は、恒星 Proxima Centauri のまわりを 公転周期5.2 日で、 軌道長半径 0.03 天文単位 ( 4315898.6 km)で公転しています。

Proxima Centauri dは、地球から約4.2光年先にあり太陽から最も近い恒星とされるProxima Centauriの周りを公転する太陽系外惑星だ。公転周期は約5.17日と短く中心星の近くを公転しているが、中心星であるProxima CentauriはM型矮星で温度が低いためProxima Centauri dの黒体温度(アルベドを0.3と仮定)は約297Kと液体の水が存在できる温度に計算されており、ハビタブルゾーン内に位置する。

2022年2月にヨーロッパ南天天文台より正式にProxima Centauri d発見の報告がなされた。これまでProxima Centauriの周りには他に二つの惑星が確認されており、恒星系としては注目されていたのだがこの惑星の発見報告には至っていなかった。今回発見に用いた視線速度法(ドップラー分光法とも言う)という観測方法は、中心星が惑星の質量に影響されて惑星の公転時に生まれるわずかな揺れを利用し、惑星の情報を得るというものである。しかしProxima Centauri dは地球の4分の1程度の質量しかなく、恒星に与える影響は小さい。発表によると、Proxima Centauri dによる視線方向の移動速度は秒速約40cmしかなかったということだ。これまで以上に精度が求められる観測だったのは間違いないだろう。実際、存在可能性が示唆されてから発見報告まで約2年の月日を要している。
これほどまでに小さな惑星を発見できたことは大きい。Proxima Centauri dを筆頭にこれまで発見しきれなかったハビタブル惑星が続々と見つかるかもしれない。

(文責:名取)

TOI-2285 b

TOI-2285 b は、太陽系から 138.3 光年( パーセク)離れた恒星TOI-2285 を周回する系外惑星で 2021 年に公開されました.
恒星 TOI-2285 は視等級 13.4, 絶対等級 10.3 です.
この恒星は太陽の 0.5 倍の質量で、 半径は太陽の0.5 倍であり 表面温度は 3491 で、スペクトル型は M4です。
この恒星の惑星系で TOI-2285 b は、恒星 TOI-2285 のまわりを 公転周期27.3 日で、 軌道長半径 0.14 天文単位 ( 20390189.8 km)で公転しています。

 

TOI-2285bTESSによるトランジット法で検出された東京大学および自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターを始めとするチームが発見した。 

公転周期は27.3日で半径は地球の1.73倍、質量は地球の19.52倍のスーパーアースで中心の恒星TOI-2285から約0.14天文単位のところで公転している。地球より僅かに大きいが、今まで発見されてきた系外惑星の中では小さいほうである。 

 

 恒星TOI-2285の表面温度は約3500Kでの赤色矮星である。太陽と比べて、半径が0.5倍、質量も0.5倍と小さい。 

  

TOI-2285bは液体の水の層が存在するのではないかと注目を集めている。薄い大気のが岩石惑星ならば水はすぐに蒸発してしまうが、東京大学の天文学者福井明彦博士は「岩石惑星はハビタブルゾーンの外に存在するとしても、水素雰囲気下で液体の水を保持する可能性がある」という。  

主星が明るいので詳細な観測が可能なため、さらなる解明が進むことが考えられる。 

惑星の内部の詳しい情報、水の存在の確認が期待される。  

(文責:石原 一真)

 
 
参考文献:
 
 
 
 
 

この惑星の詳細は以下のリンクをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/TOI-2285_bJP.html

AB Aurigae b

AB Aur b は、太陽系から 469.7 光年( パーセク)離れた恒星AB Aur を周回する系外惑星で 2008 年に公開されました.
恒星 AB Aur は視等級 7.1, 絶対等級 1.3 です.
この恒星は太陽の 2.4 倍の質量で、 半径は太陽の1.7 倍であり 表面温度は 9600 で、スペクトル型は A0Vです。

 

史上初:惑星の赤ちゃんを直接撮像。現在も成長し続ける原始惑星。

日本語表記は「ぎょしゃ座AB星b」。誕生から200万年程度しか経っていないとされる若い星(Ae/Be型星)であるぎょしゃ座AB星のガス円盤内に存在する原始惑星。地球から約508光年離れており、恒星(ぎょしゃ座AB星)から約93天文単位も離れた位置を公転している。質量は木星の9~12倍、半径のは木星の約2.75倍と予測されている。

2022年、国立天文台ハワイ観測所のThayne Currie氏を筆頭とする研究グループは、すばる望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を使って今まさに成長しつつある原始惑星の直接撮像の成功を発表した。未だ惑星が形成される材料となるガスと塵の中に存在している原始惑星が撮像によって発見されたのは史上初とされている。
また、一般的な原始惑星系円盤の中で塵が少しずつ集まって惑星に成長していく「コア集積モデル」に対して、恒星から50天文単位を超える距離において原始惑星系円盤の一部が自身の重力で分裂・収縮して比較的速やかに惑星が形成されるという「円盤自己重力不安定モデル」と呼ばれる別のプロセスが提唱され、惑星形成に関する理論に重要な知見をもたらした。
すばる望遠鏡の SCExAO (スケックスエーオー) と CHARIS (カリス) は系外惑星や恒星まわりの円盤を観測するための最新鋭装置で、両者を組み合わせることで高いコントラストで天体を撮像し、同時にそのスペクトルを観測することが可能である。SCExAOはシャープな星像を作る極限的な補償光学系、CHARIS は天空の微小な面の各点のスペクトルを一度に取得できる面分光の機能を持つ。
この惑星は2016年に最初に検出されたが、新しく形成された惑星ではなく「ぎょしゃ座AB星」の原始惑星系円盤の一部を識別したとされていた。しかし、その後のすばる望遠鏡で得られたSCExAO/CHARISデータは、ぎょしゃ座AB星bのスペクトルが原始惑星系円盤のスペクトルとは異なり、温度が新しく生まれた惑星の予測値と類似していることを示したため、ぎょしゃ座AB星bがぎょしゃ座AB星の周囲を公転しており、背景にある恒星などではないという証拠が確認された。

Currie, T., Lawson, K., Schneider, G. et al. Images of embedded Jovian planet formation at a wide separation around AB Aurigae. Nat Astron 6, 751–759 (2022). https://doi.org/10.1038/s41550-022-01634-x
天文学:木星型の太陽系外惑星の形成過程が観測された | Nature Astronomy | Nature Portfolio (natureasia.com)
Hurley, Timothy (April 9, 2022). “Mauna Kea scientists discover emerging planet”. Honolulu Star-Advertiser.

(文責:小川)

Imaginary picture of AB Aurigae b (illastrated by Yui Nagato)

Imaginary picture of AB Aurigae b (Illustrated by Yui Nagato)
Imaginary Picture of AB Aurigae b

AB Aurigae b の詳細な情報はこちら

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/AB_Aur_bJP.html