カテゴリー: 系外惑星の紹介

TOI-1338b

TOI-1338bは、連星系TOI-1338を周回する周連星惑星である。NASAのインターン・プログラム中の高校生が発見したことで話題となった。

TOI-1338はがか座の方向1300光年先にある連星系で、質量は主星は太陽の1.1倍程度、伴星は太陽の1/3程度、約15日の周期で互いの周りを回っている。主星については、半径は太陽の3倍程度あるが表面温度は5723Kと太陽と同程度であり、スペクトル型はG4、見かけの等級は11.5、絶対等級は3.5である。名前のTOIというのはTESS Object of Interestの頭文字を取ったもので、系外惑星探査衛星TESSが探査した恒星や惑星を意味する。TOI-1338bの発見により、TOI-1338はTESSが発見した初の周連星惑星をもつ連星となった。

TOI-1338bはこの系唯一の惑星で、質量は地球の7倍程度、トランジット法で発見され2020年に公開された。その恒星が連星であることが影響し、トランジットの周期は93-95日で不規則。軌道面が連星の軌道面とほぼ一致しているため、常に恒星食の状態にある。ExoKyotoのスペクトルモジュールによれば、受ける光は可視光44.51%、赤外線47.80%、紫外線7.66%である。

(文責 清水里香)

TOI-1338 についてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/TOI-1338JP.html

TOI-700 d

TOI-700は地球からかじき座の方向に101光年離れた位置にある赤色矮星で、表面温度は3480K、スペクトル型はH2V、質量・半径ともに太陽のおよそ4割程度である。恒星の名前であるTOIとはTess Objects of Interest の頭文字で、太陽系外惑星探索衛星TESSの観測により惑星が存在する可能性が示された天体のカタログを意味している。TOIカタログにリストアップされた天体は、ドップラー分光法や直接撮像法などの、トランジット法以外の観測方法によって追加観測が実施される。本恒星はESAにより2013年に打ち上げられた宇宙望遠鏡ガイアによる、恒星観測ミッションの観測対象でもあったため、Gaia DR2 5284517766615492736とも呼ばれる。

TOI-700のトランジット観測の結果、TOI-700の周りを公転する3つの惑星を発見した。3つの惑星のうちで最も外側、0.16AUの位置を公転するTOI-700dは、地球の1.2倍の大きさの岩石惑星であり、かつ水が液体の状態で存在できる領域(ハビタブルゾーン)内にある可能性が高い。TESSは2018年の打ち上げ以降、多数の系外惑星を発見してきているが、ハビタブルゾーン内で発見された地球サイズの惑星はこれが初となる。

EXOKYOTOのスペクトルモジュールによると、TOI-700dがその恒星であるTOI-700から受ける光の85.72%は赤外線が占め、13.97%は可視光、0.30%が紫外線と見積もられている。

TOI-700 dの半径は、1.19地球半径であり、質量はまだ計測されていないが、EXOKyotoの質量推定モジュールを利用すると、2.26地球質量と推定される。太陽系からの距離は101光年で、恒星TOI-700から0.16天文単位、ちょうどKopparapu et al.2013の暴走温室限界のすぐ外側の軌道を37日で公転する。想像図では、潮汐ロックされており、片面が植物で覆われている姿を描いた。

TOI-700 dについての詳しいデータは以下のページ

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/TOI-700_d.html

(文責 木村なみ、山敷庸亮)

K2-18b

K2-18 bの想像図 Haruka Inagaki

K2-18 bは、地球から約124光年離れたところにある赤色矮星(M2.5型)のホスト星K2-18の周りを公転周期32.9日で周回し、2015年に発見されました。この星のハビタブルゾーンは、ちょうど恒星から0.1-0.2天文単位の位置にありますが、0.14天文単位の位置を公転するK2-18bの質量は、地球の約8.9倍です。つまり、海王星型惑星か、水素が豊富な厚い大気の岩だらけの世界であるかのどちらかです。2019年9月に、K2-18bに水蒸気の可能性があることを示す2つの独立した研究が発表されました。これは、ハッブル宇宙望遠鏡で行われた観測によるものです。水蒸気は発見されましたが、トランジット法にて計測された半径は地球の2.3倍。まだこの惑星がガス惑星か岩石惑星かははっきりわかりません。ガス惑星である場合、惑星表面には硬い地面はなく、仮にあったとしても地球の数千倍の気圧の大気に押し潰されるでしょうし、内部の温度は非常に高いと想定されます。もし岩石惑星であったとしても、重力が大きいため、地球よりはるかに多くの大気を保持しているでしょうし、それは水素大気である可能性が高いです。そのため、まだハビタブルな惑星と同定するには少々早いですが、水蒸気が存在するということは、我々に非常に大きな期待を与え続けてくれるはずです。近い将来に惑星の詳細が解明されたときにはどのような姿を示してくれるでしょうか。

 Image via Alex Boersma/iREx.

K2-18bについてもっと知りたい人は、以下のデータを参照

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/K2-18JP.html

https://www.nationalgeographic.com/science/2019/09/first-water-found-in-habitable-exoplanets-atmosphere-hubble-kepler-k2-18b/

https://blogs.scientificamerican.com/observations/no-the-exoplanet-k2-18b-is-not-habitable/

https://www.space.com/alien-planet-k2-18b-water-vapor-not-earth-twin.html

https://exoplanets.nasa.gov/exoplanet-catalog/4847/k2-18-b/

系外惑星の放射線環境を推定


Kepler-283 cにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定


Proxima Centauri bにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定
Ross-128 bにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定
TRAPPIST-1eにおける1年に1度発生しうる中心星のスーパーフレア・CMEによって引き起こされる惑星大気(N2+O2を仮定)での空気シャワーによる被ばく量推定

Teegarden b, c

Teegarden’s cの想像図。潮汐ロックを仮定
Imaginary Picture, Miu Shimizu

ドイツのゲッチンゲン大学の国際チームが、「カラー・アルト天文台」にある3.5m望遠鏡に設置されたCARMENES高解像度スペクトル分光計を用いて、非常に地球に類似の二つの惑星を発見した。

ティーガーデン星は地球からわずか12.5光年の位置にある赤色矮星で、表面温度はわずか2900K、質量は太陽のわずか1/10である。このように非常に温度が低く暗い星なので、近くにあるにも関わらず2003年まで発見されなかった。この二つの太陽系外惑星はいずれもハビタブルゾーンに存在し、岩石惑星である可能性がある。その公転軌道から、いずれも液体の水が存在する可能性がある。実際は、Teegarden bは液体の水がある可能性が高いが、Teegarden cは、大半が凍っており、一部だけ融解している可能性があるだろう。公転周期はそれぞれ、4.9日と11.4日である。ExoKyotoでの解析によると、Teegarden bはわずかに暴走温室限界の内側に位置している。

ティーガーデン星からの光はほとんど赤外線であり(ExoKyotoの合成スペクトルによると、94.97 % 赤外線で、可視光線はわずか4.95 %)、実際にはこの想像図のような青色、緑色はほとんど見えないだろう。

(文責:山敷)

Teegarden b, c についての詳しい情報はこちらをご覧ください。

Teegarden’s b http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Teegarden’s_bJP.html

Teegarden’s c http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Teegarden’s_cJP.html

References:

https://phys.org/news/2019-06-earth-like-exoplanets-red-dwarf-teegarden.html

http://www.mpia.de/news/science/2019-04-teegarden

http://phl.upr.edu/press-releases/teegarden

https://www.nationalgeographic.com/science/2019/06/two-potentially-life-friendly-planets-found-12-light-years-away-teegardens-star/

http://exoplanet.eu/catalog/teegarden’s_c/

https://arxiv.org/abs/1906.07704

GJ 699 b – Barnard’s star b

Barnard’s star b (GJ 699 b)

(Imaginary picture of Barnard’s star b – GJ 699 b   credit: Ryusuke Kuroki, Natsuki Hosono and Yosuke A. Yamashiki)

GJ 699 b(バーナード星 b)は、太陽系から約6光年に位置するM型星であるバーナード星のまわりを、一周233日で周回するスーパーアースです。中心星のちょうどスノーライン(水が凝結/昇華する温度の軌道)あたりに位置しており、表面温度は約105ケルビン(マイナス168℃)と推定されています。視線速度法によって発見されたため質量の推定も行われており、地球の3.2倍以上の重さであると考えられています。

バーナード星は、ケンタウルス座α星(三重星)に次いで太陽系に近く、単独星としては最も太陽系に近い恒星です。実は1960年代に、アメリカの天文学者ピート・ファンデカンプによって一度惑星が “発見” された星でもあります。そのため、1970年代には、バーナード星の周りには惑星が存在していることが “常識” となっており、バーナード星周りの惑星をテーマにした SF 作品なども数多く生まれました。しかし、この “発見” は他の望遠鏡によって確認されることはなく、後に観測装置によるデータ誤差であることが指摘され、「幻の惑星」となってしまったのでした。

今回発見された惑星は、彼が “発見” した惑星とは異なるものですが、多くの人々にとって非常に思い入れの深い星であるバーナード星の周りでの惑星発見ということで、世界中で大きな話題となっています。この GJ 699 b は、なんと 1997年6月〜2017年11月の20年間以上に渡り、複数望遠鏡による長期観測を続けた結果ようやく発見されました。1995年10月に最初の系外惑星が発見されたことを考えると、その直後からずっとバーナード星での惑星探しが行われていたことがわかります。ここにも、バーナード星に対する熱い思い、そして惑星発見への執念を感じます。

ちなみにこれまでの観測データからは、他のM型星の周りでよく見られる恒星のすぐそばを回る惑星は存在していないこと、またハビタブルゾーン内に地球サイズ以上の惑星は存在していないことも示唆されています。ということで、残念ながら太陽系のお隣の星には「第二の地球」はいなかったようですが、地球とは違うタイプの冷たいスーパーアースを題材とした新たな SF 作品がこれからたくさん誕生するかもしれませんね。

(文責:佐々木貴教)

以下、GJ 699 bについてのExoKyotoによる解析結果を掲載します。惑星の推定温度は発表論文によると105 ケルビン(マイナス168 ℃)と、木星のガリレオ衛星の表面温度程度で、一面氷の世界であると考えられ、惑星内部に何らかの熱源がないと、液体の水は存在できないでしょう。バーナード星からの放射エネルギーは平均27.49 W/m2と見積もられ、これは木星よりは小さいですが土星の倍程度となります。ですが、赤外線成分が多く(可視光線成分推定9.99 %, 赤外線89.81 %)直接熱に寄与するエネルギーが多いため、可視光域のアルベド以上に少し暖かくなることも考えられます。
視線速度法による測定のため惑星半径は見積もられていませんが、ExoKyotoでの推定値は半径地球の1.37倍(木星の0.12倍)程度です。

軌道は離心率0.32の楕円軌道を通るため、最も近づく距離でバーナード星から0.3天文単位より内側、遠ざかる場合0.5天文単位より外側に位置します。そのため極端な季節がみられるかもしれません。ただしスノーライン(太陽系の小惑星帯の位置)は公転軌道よりも内側に位置しており、Kopparapuによる最大温室効果限界を用いても最大温室効果限界の外側に位置することになり(いずれも0.13 天文単位程度)、論文で記載されている表現よりもずいぶん「寒い」惑星だと考えられます。

なお、恒星の活動性は低く、中心星からの十分な距離を考えても、フレアによる放射線影響は少なそうです。
(文責:山敷庸亮)

GJ699 bについての詳しい情報は、以下のデータベースページをごらんください。

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_699_bJP.html

Size of GJ 699 b – Barnard’s star b

(Orbit of GJ 699 b – Barnard’s star b)
Barnard

(Position of GJ699 b – Barnard’s star b)

(Position of GJ699 b – Barnard’s star b)