月: 2023年7月

The Overview of Space Telescopes

太陽系外惑星の探査のmissionを持つ宇宙望遠鏡

NASA mission

Hubble 宇宙望遠鏡:

Credits: NASA(https://www.nasa.gov/content/goddard/hubble-space-telescope-design)

1990年に運用を開始し、2023年7月時点も運用継続中。直径2.4mの主鏡をもつ大型光学式宇宙望遠鏡。 観測波長は紫外線と可視光、近赤外線。地上約547km上空の軌道上を周回する。 太陽系外惑星の探査において、候補惑星に焦点を絞り使用されており惑星の大気を直接検出し、組成を調査した最初の望遠鏡。惑星が恒星と地球の間を通過する際に恒星の光が惑星の大気に吸収される。その吸収光の分析により、大気の成分分析を試みている。

Spitzer 宇宙望遠鏡:

Credits: NASA JPL(https://www.spitzer.caltech.edu/mission/store-and-dump-telemetry)

2003年に運用開始され、2020年まで運用された。口径が0.85mの主鏡を持つ赤外線観測衛星。観測波長は赤外~遠赤外線(3~180 μm)。地球を追いかける形で太陽周回軌道上に存在する。太陽系外惑星の探査において、太陽系外の惑星(恒星の近傍を周回する巨大ガス惑星、通称「ジャイアントジュピター」)の光を直接検出した最初の望遠鏡であり、これらの遠い惑星の温度、風、大気組成を決定することを可能にした。

Kepler 宇宙望遠鏡:

Credits: NASA JPL Credits: NASA/Ames/JPL-Caltech/T Pyle(https://www.nasa.gov/kepler/missiontimeline)

2009年に運用開始され、2018年まで運用された。直径が1.4mの主鏡を持つ赤外線観測衛星。観測波長は可視光~近赤外線(420~900 nm)。地球を追いかける形で太陽周回軌道上に存在する。 NASAで初めての太陽系外惑星の探査を主目的としたミッション。トランジット法を用いて2,662個の太陽系外惑星を確定した。

ExokyotoのKepler宇宙望遠鏡の記事はこちら

Kepler Space Telescope

TESS (Transiting Exoplanet Survey Satellite)

Credits: NASA (https://www.nasa.gov/content/about-tess)

2018年に運用を開始し、2023年7月時点も継続中。広視野カメラを使用して全天の85%の観測を行う。 Kepler宇宙望遠鏡の400倍の面積をトランジット法を用いて観測。地球周回軌道は軌道離心率の高い楕円軌道を周回する。太陽系外惑星の探査を主目的とし、トランジット法で何千もの系外惑星候補を抽出する。真の太陽系外惑星であることを確認するために、地上望遠鏡と協力して惑星の大きさ、軌道、質量を決定する。

ExokyotoにおけるTESSの記事はこちら

Transiting Exoplanet Survey Satellite (TESS)

James Webb 宇宙望遠鏡:

Credits: NASA (https://webb.nasa.gov/content/webbLaunch/deploymentExplorer.html#0)

2021年に運用を開始。直径6.5 mの巨大な主鏡を持つ。赤外線観測に主眼が置かれている。地球から約150万km離れた、太陽・地球系のラグランジュ点L2を周回する。太陽系外惑星の探査ではトランジット法で惑星の大気を測定する。地上望遠鏡(ドップラー法)と協力して質量も測定する。恒星近くの惑星を撮影し、分光法により色や冬と夏の差、植生、自転、天候も測定。

 

ESA/European mission

COROT(Convection, Rotation and planetary Transits):

Credits: ESA (https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/COROT_overview)

2006年に運用が開始され、2014年まで運用された。トランジット法での系外惑星の検出を主目的とした初めての宇宙機(Keplerよりも先に運用開始)。口径0.27mの反射式望遠鏡。4つの CCD 検出器を搭載。高度900kmの地球の軌道上を周回。

Gaia

Credits: ESA/ATG medialab; background: ESO/S. Brunier
(https://www.explore-exoplanets.eu/resource/gaia/)

2013年に運用を開始し、現在(2023年7月時点)も運用継続中。116個のCCD 焦点面アレーを搭載。地球から約150万km離れた、太陽・地球系のラグランジュ点L2を周回する。トランジット法、ドップラー法、分光法の3つの測定法により太陽系外惑星の探査を行う。観測波長は 330~1050nmをカバーし、プリズムによって分光エネルギー分布の測定を行う。

Cheops

Credits: ESA (https://www.cosmos.esa.int/web/cheops)

2019年に運用を開始し、現在(2023年7月時点)も運用継続中。系外惑星観測用の衛星で、すでに発見されている系外惑星をトランジット法により詳細に観察することが目的。320mmと主鏡68mmの副鏡を有する宇宙望遠鏡。観測波長は50nmから1100nm。高度700 kmの地球の軌道上を周回する。

(文責:小塚)

参考資料

Exoplanet mission

https://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/exoplanet_missions.jpg

https://www.cosmos.esa.int/web/cheops

Hubble

https://www.nasa.gov/mission_pages/hubble/observatory

https://www.nasa.gov/content/goddard/hubble-space-telescope-optics-system

https://www.nasa.gov/content/goddard/hubble-space-telescope-science-instruments

https://hubblesite.org/science/exoplanets

Spitzer

https://www.spitzer.caltech.edu/mission/fast-facts

https://www.spitzer.caltech.edu/mission/exoplanets

Kepler

https://keplergo.github.io/KeplerScienceWebsite/the-kepler-space-telescope.html

https://www.nasa.gov/kepler/missionstatistics

TESS

https://www.nasa.gov/content/about-tess

https://www.nasa.gov/sites/default/files/atoms/files/tesssciencewritersguidedraft23.pdf

James webb

https://webb.nasa.gov/content/webbLaunch/needToKnow.html#aboutWebbImages

https://webb.nasa.gov/content/science/origins.html

COROT

https://sci.esa.int/web/corot

Gaia

https://www.cosmos.esa.int/web/gaia/photometric-instrument

https://www.cosmos.esa.int/web/gaia/exoplanets

https://sci.esa.int/documents/33580/36006/1567260289934-Gaia_media_kit_v20160921.pdf

Cheops

https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Cheops

https://sci.esa.int/web/cheops/

Kepler Space Telescope

Kepler missionが提案され、承認されるまでの背景

Kepler missionはNASAで初めて太陽系外惑星の探査を主目的としたミッションで、2009年から2018年の9年間運用された。このミッションが実施されたきっかけは、NASA Ames Research Centerの研究者であるWilliam Boruckiが恒星を惑星が通過する際に恒星の輝度がわずかに減少することを検出するトランジット法(transit photometry)の研究を始めた1983年に遡る。彼と彼のチームは「ほとんどの恒星は惑星を有しており地球型惑星(terrestrial planets)はありふれている」という仮説を立てて、1992年に太陽系外惑星の探査を目的としたミッションをNASAに初めて提案するも採択されなかった。しかし、その後も研究の改良を行いながら提案を続けた。当時は太陽系外惑星に対して大きな注目を集めていなかったが、1995年に初の太陽系外惑星51 Pegasi bの発見(Mayor MichelとQueloz Didierによる発見、2019年にノーベル物理学賞を獲得)をきっかけに世界中から注目されるようになる。そして、2001年の5度目の提案でついに採択された。なお、ミッション名のKeplerの名前は17世紀のドイツの天文学者Johannes Kepler(惑星の運動に関する法則(ケプラーの法則)の発見者)から名づけられた。そして2009年に、 Kepler宇宙望遠鏡 はDelta IIロケットによってフロリダの ケープ・カナベラルから打ち上げられた。

搭載された光学系の特徴

Kepler宇宙望遠鏡は直径0.95mのシュミットコレクターを通して光を集め、直径1.4mの主鏡でCCDモジュールへ集光する宇宙望遠鏡である(図1)。21個のCCDモジュールからなり、各モジュールには 2つのCCD(2200×1024 pixel)が搭載されており、合計42個のCCDで撮像する(図2,3)。しかし、mission中に3つのモジュールで故障が生じ、mission後半では18個のモジュールでの運用となった。各CCDにはフラットナーレンズとバンドパスフィルターが備え付けられており、420から900 nmの波長の光を検出する(図4)。この波長域はM5型(例:プロキシマ・ケンタウリ)やG2型(例:太陽 )の恒星の発する光のピーク波長を含んでいる。

図1. Kepler宇宙望遠鏡の模式図

Credit: NASA

図2. CCDモジュール

Credit: NASA

図3. Kepler宇宙望遠鏡で得られる画像の例

Credits: NASA/Ames

図4. 検出可能な波長

Credit: NASA

観察エリア

太陽系外惑星を発見するには多くの恒星を観察することが求められるため、天の川銀河の平面の恒星が密集したエリアが理想である。しかし、トランジット法を用いた観察のために3.5年の間(少なくとも6年まで延長)同じ視野を観察する計画であり、毎年太陽を周回する際に太陽が視野に影響しない方向としては太陽の軌道から55°以上、上(北天)か下(南天)の方向を観察対象とする必要がある(図5)。比較の結果、南天に比べて星が豊富な北天の白鳥座付近が選ばれた(図6)。そして、この領域において150,000個以上の恒星を観察することを目標とした。 なお、太陽光発電パネルを太陽の方向に向けるために、93日おきに回転制御が行われた。Kepler宇宙望遠鏡によって地球サイズの惑星が検出される恒星までの距離は600光年から3,000光年であり、600光年より近い恒星は1%未満である。なお、3,000光年より遠い恒星は、トランジット法で地球サイズの惑星を観測するには暗すぎると考えられている(図7)。

図5. 観察方向と周回軌道

Credit: NASA

図6. 固定視野

Credit: NASA/JPL

図7. 観察範囲

Credit: NASA/JPL

運用実績・成果

Kepler宇宙望遠鏡は9年間にわたりデータを収集した後、さらなる科学活動に必要な燃料を使い果たしたため、2018年10月に地球から約1億8千万キロメートル離れた安全な軌道上で停止コマンドである‘Goodnight’が送信されてmission を終えた。2018年10月に活動を終えた時点で、「530,506個の恒星を観察」、「2,662個の太陽系外惑星を確定(候補ではない)」、「61回の超新星爆発を観測」、「678GBのデータを収集」、「2,946報の科学雑誌に投稿される」などの成果を得た。 また、太陽系外惑星の観測において、太陽系には存在しない惑星を特徴付けた。これらは地球より大きく海王星規模までのサイズであり、巨大地球型惑星(スーパーアース)と名付けられた。運用が終了した後もデータの解析は続けられており、新たな太陽系外惑星候補が現在も見つかっている。

(文責:小塚)

参考資料

https://www.nasa.gov/mission_pages/kepler/overview/index.html

https://www.nasa.gov/kepler/missiontimeline

https://keplergo.github.io/KeplerScienceWebsite/the-kepler-space-telescope.html

https://www.nasa.gov/mission_pages/kepler/spacecraft/index-mission.html

https://www.nasa.gov/pdf/189566main_Kepler_Mission.pdf

https://www.nasa.gov/kepler/presskit

https://www.nasa.gov/feature/ames/kepler-space-telescope-bid-goodnight-with-final-set-of-commands

https://www.nasa.gov/kepler/missionstatistics

http://planetary.jp/topics/JPL/2018-7271-jpl.html

https://www.nasa.gov/sites/default/files/thumbnails/image/exoplanet_missions.jpg