カテゴリー: 系外惑星の紹介

Kepler-235 e

Kepler-235 e は、太陽系から 1712.3 光年( 525パーセク)離れた恒星Kepler-235 を周回する系外惑星で 2014 年に公開された. 恒星 Kepler-235 は視等級 14.0, 絶対等級 5.4 である. この恒星は太陽の 0.6 倍の質量で、 半径は太陽の0.6 倍であり 表面温度は 4255 ケルビンで、スペクトル型は K6である。 この恒星の惑星系で Kepler-235 e は、恒星 Kepler-235 のまわりを 公転周期46.2 日で、 軌道長半径 0.21 天文単位 ( 31,864,346.5 km)で公転している。

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Kepler-235 e (exoplanetkyoto.org)

CoRoT 10 b

(Corot 10b の想像図 Ryusuke Kuroki, Fuka Takagi and Yosuke A. Yamashiki)

CoRoT-10 b は、太陽系から 1125.2 光年( パーセク)離れた恒星CoRoT-10 を周回する系外惑星で 2010 年に公開されました。恒星 CoRoT-10 は視等級 15.2, 絶対等級 7.5 です。この恒星は太陽の 0.9 倍の質量で、 半径は太陽の0.8 倍であり 表面温度は 5075 で、スペクトル型は K1Vです。この恒星の惑星系で CoRoT-10 b は、恒星 CoRoT-10 のまわりを 公転周期13.2 日で、 軌道長半径 0.11 天文単位 ( 15782575.4 km)で公転しています。

COROT-10bは、CoRoT衛星(Kepler宇宙望遠鏡に先駆けて、トランジット法による惑星探査を実施した衛星)が2007年に行った142日間の観測で発見された巨大惑星です(2010年に報告)。惑星半径は0.97木星半径で、中心星COROT-10の周りを周期13.4日で周回しています。中心星のCOROT-10は太陽より質量・半径ともやや小さい(質量0.89倍, 半径0.79倍)K1型星(表面温度5075K)星です。

特筆すべき事としては、この惑星の公転軌道の離心率が0.53±0.04と非常に大きく、真円から大きく離れた楕円軌道を取っていることが挙げられます。このような大きな離心率を持っている巨大惑星がなぜ存在しているかということは、惑星系形成過程を考える上で興味深いと言えます。

(Yuta Notsu)

CoRoT-10 bについてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

CoRoT-10 b (exoplanetkyoto.org)

ジャーナル記事

1.) Transiting exoplanets from the CoRoT space mission X. CoRoT-10b: a giant planet in a 13.24 day eccentric orbit

WEB記事

1.) CoRoT-10 b

2.) Planet CoRoT-10 b

論文

https://www.aanda.org/articles/aa/full_html/2010/12/aa14943-10/aa14943-10.html

GJ 625 b

惑星GJ 625 bは、地球から約21.2光年のGJ 625というM矮星の周りの軌道上にあります。それは地球の質量の少なくとも2.8倍であると考えられ、14.6地球日でその軌道を周回しています。 その発見についてはarXivで見ることができ、Canary Islands Institute of Astrophysicsにより主導されますが、Astronomy and Astrophysics誌に掲載される予定です。

GJ 625 bは主星のハビタブルゾーンの内側に位置しており、温度は液体の水が存在するのに適しています。約0.08 AU(天文単位、1 AUは地球から太陽までの距離)の距離で周回します。 「GJ 625 bは、近くのM-矮星のハビタブルゾーンにある小さなスーパーアースである」とカナリア諸島天体物理学研究所の筆頭著者Alejandro SuarezMascareñoがIFLScienceに「M-矮星周辺の小型外惑星の最後に見つかった輪の後でさえ、この種の星の周りで知られている岩石の惑星の数は比較的少ない」と語っています。

GJ 625 bについてもっと知りたい方は、以下のデータベースページをご覧ください。

GJ 625 b (exoplanetkyoto.org)

ジャーナル記事

1.) HADES RV Programme with HARPS-N at TNG V. A super-Earth on the inner edge of the habitable zone of the nearby M-dwarf GJ 625

2.) Equilibrium Temperatures and Albedos of Habitable Earth-Like Planets in a Coupled Atmosphere-Ocean GCM

WEB 記事

1.) Super-Earth Discovered Around Nearby Red Dwarf Star

2.) A new Super-Earth discovered near the habitable zone of a cool star.

浮遊惑星

(Image credit: Rina Maeda, SGH Moriyama high school)

浮遊惑星(Rogue Planets)とは、惑星程度の質量で、恒星・褐色矮星・その他の天体に重力的に拘束されず、銀河を直接公転している天体。形成された恒星系からはじき出されるメカニズムは、巨大ガス惑星の公転軌道移動に伴ってはじき出されたり、近くに大質量天体が通過してはじき出されるなど様々な要因が考えられるが、もちろん、通常の恒星のようにガス雲の重力崩壊により形成されたが小さすぎて中心部で核融合反応が起こらなかった浮遊惑星もある。浮遊惑星、準惑星など全てを惑星質量天体(PMO Planetary Mass Object – プラニモ Planemo)と称する。中心星からの輻射による熱源はないが、岩石惑星の場合内部熱源(放射性物質の壊変)が存在し、ガス惑星の場合圧縮により生成される遠赤外線を閉じ込めることにより熱を保持し大気を保持する可能性があると考えられている。銀河系の恒星の二倍の数があるとも考えられ、2017年2月にもマイクロレンズ法を用いた系外銀河の観測により系外銀河にも大量の浮遊惑星が存在している証拠がとらえられたばかりである。(山敷・佐々木)

CoRoT-7b

(CoRoT-7bの想像図 SGH守山高校 前田理那 画 ) 潮汐ロックされており、昼面は2000度以上、夜面は中心部に氷が残っている様子を想像した。


(CoRoT-7bの想像図 Credit: Ryusuke Kuroki, Yosuke Yamashiki )

CoRoT-7 b は、太陽系から 489.2 光年( パーセク)離れた恒星CoRoT-7 を周回する系外惑星で 2009 年に公開されました。恒星 CoRoT-7 は視等級 11.7, 絶対等級 5.8 です。この恒星は太陽の 0.9 倍の質量で、 半径は太陽の0.9 倍であり 表面温度は 5313 で、スペクトル型は K0Vです。この恒星の惑星系で CoRoT-7 b は、恒星 CoRoT-7 のまわりを 公転周期0.9 日で、 軌道長半径 0.02 天文単位 ( 2573083.4 km)で公転しています。

CoRoT-7bは2009年2月、COROTによりトランジット法を用いて発見された系外惑星です。いっかくじゅう座の中心部に位置し、太陽系から489光年離れており、その半径は地球の1.52倍と非常に小さく、発見された当時は最も小さな太陽系外惑星でした。また、公転周期は0.85日(約20時間)と極めて短く、恒星までの距離は257万㎞(0.02天文単位、太陽―水星間の距離の20分の1未満)と恒星に非常に近いところを公転しています。
CoRoT-7bはその密度からスーパーアースと分類されていますが、スーパーイオとみなす考え方もあります。
木星の衛星であるイオは、木星や木星のほかの衛星の重力による潮汐加熱で内部の温度が上昇し、火山活動が活発な衛星です。これと同じようにCoRoT-7bも、中心星CoRoT-7やCoRoT-7の他の惑星であるCoRoT-7cの影響を受け潮汐加熱が起きているのではないかと考えられているからです。
また、CoRoT-7bはその短い軌道長半径より潮汐固定が起きていて、恒星に常に同じ面を向けているため惑星の恒星に面した側は2000度以上にもなり、反対側はマイナス200度になるのではないかと考えられています(ExoKyotoでは、潮汐ロックされている場合昼面の温度は2110 K(アルベド0.1と仮定した場合), あるいは1982K(アルベド0.3と仮定した場合)と推定しています)。
地球と同じ岩石型の惑星と考えられているCoRoT-7bですが、その温度もさることながら恒星側の大地は溶けだした溶岩におおわれ、その反対側でも活発な火山活動が起きている可能性があるため、生命が存在する事は難しいでしょう。
(執筆 佐藤啓明 修正担当 山敷庸亮)
Victoria Jaggard (2010)「最も地球に似た系外惑星はスーパーイオ」(参照2018-1-19)

“AstroArts”  (2009) 「最小の系外惑星を発見」(参照2018-1-19)

“AstroArts” (2009)「最小系外惑星は、地球に似た岩石惑星か」(参照2018-1-19)

CoRoT-7のハビタブル・ゾーン

CoRoT-7のステラマップによる位地

CoRoT-7bの詳しいデータはデータベースの以下のリンクを参照
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/CoRoT-7_bJP.html

GJ667Cc

(潮汐ロックされている場合のGJ667Ccの想像図 Credit : Natsuki Shirako, SGH Moriyama High School)


(GJ667Ccの想像図 清水海羽 画 (SGH 守山高校ハビタブル研究会) )

GJ667Ccはさそり座に位置し、太陽系から22.3光年離れた恒星GJ667Cをまわるスーパーアースサイズの太陽系外惑星です。主星であるGJ667Cは三重連星であり、GJ667A、GJ667Bのさらに外側を周っています。

2011年に視線速度法にて発見された、地球質量の3.8倍のスーパーアースで、半径は正確ではないが、ExoKyotoの質量半径推定モジュールを用いると、地球の1.43倍と試算されます。
GJ667Cには少なくとも2つの惑星が周っていると考えられており、GJ667Ccは外側を周っています。主星までの距離は太陽地球間距離の12 %( 0.12 天文単位)と近いのですが、主星の温度が3,600Kと低いため、その黒体温度は262 K (潮汐ロックされている場合昼面は312 K)と見積もられており、ハビタブルゾーンの圏内に入っています。実際、GJ667Ccの、地球にどれくらい似ているか示す指標、ESIは0.84で、これまでに発見された系外惑星の中でもトップレベルです。さらに、赤色矮星は紫外線などの生命にとって有害な電磁波を出す量が少ないため、生命にとっては好都合だと言えます。このような理由で生命が住むには適した惑星として注目されてきたため、映画Alien vs Predator ではテラフォーミングされた惑星として登場しました。

GJ667Ccの惑星境界での輻射は1545 W/m2で、ほぼ地球 (1367 W/m2)と等しい。M型星であることを考慮するとしかし、赤外線成分が強く、より温室効果が進んでいる可能性もあります。海の存在も想定されるが、長年の輻射とM型星の進化過程により海が蒸発しきっている可能性もある。Kopparapu et al.によると、暴走温室限界のやや内側に位置するので、その可能性もありなす。

主星のGJ667Cは太陽質量の0.33倍、太陽半径の0.34倍のM1.5のスペクトルを持つ赤色矮星で、フレアの発生が考えられるが、具体的な観測データに乏しい。GJ667Ccの軌道長半径は0.125天文単位なので、フレア星であるならその影響は大きいと考えられ、大気組成によると生命に大きな影響がありうるとも考えられる。

Maehara et al.2016による温度だけによる最大フレアのエネルギーを予想すると、6.0 x 10^34 ergs となり、軌道長半径が短いので、太陽での最大フレアを地球境界でうける数万倍のエネルギーを受ける可能性があります。

GJ667Ccの詳しい情報は以下のページ

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_667_C_cJP.html

(梨元昴・山敷庸亮)

参考資料
http://www.eso.org/public/archives/releases/sciencepapers/eso1328/eso1328a.pdf


GJ667Ccのハビタブルゾーン(Kopparapu et al. 2013)


Stellar MapによるGJ667Cの位置

GJ667Ccについての情報は以下のリンク
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_667_C_cJP.html