Kepler-560 b

Kepler-560 b

Kepler-560 bは、白鳥座に位置し、地球から287光年離れたM型星 Kepler 560 の周りを周回するスーパーアースサイズの太陽系外惑星で、ハビタブルな惑星である可能性が議論されている惑星の一つで、2016年5月にNASAが発表した1284個のKepler惑星リストの中でハビタブルゾーンに位置する9個の惑星の一つに数えられています。


(Kepler-560 bの位置 ExoKyoto Stellar Window を利用 Zoom Level 3)
Kepler 560 はわずか0.34太陽質量のM型星(NASA区分ではK型星)で、その半径は推定0.33太陽半径であり、この星のハビタブル・ゾーンはずっと内側に位置すると考えられています。
この星のハビタブル・ゾーンは太陽系相当天文単位(SEAU)によると、
金星相当軌道 0.090 天文単位
地球相当軌道 0.125天文単位
火星相当軌道0.190 天文単位

Kopparapu et al.2013によると
内側境界Recent Venus 0.102 天文単位
地球サイズ惑星の暴走温室限界 0.129 天文単位
外側境界最大温室限界0.251 天文単位

Kepler-560 bの平均公転軌道半径は0.10 AU (1428万キロ)ですので、SEAUによるとハビタブル・ゾーン、Kopparapu et al.によると金星相当より内側で、ハビタブル・ゾーンから外れると考えられます。
Kepler 560 b 惑星境界での中心星からの放射は2343 W/m2なので、地球(1367 W/m2)より金星(2613 W/m2)に近いと言えます。
この星のアルベドを0.3と仮定した際の黒体温度は291Kとなり、地球(255 K)と比較してずいぶん暑くなる可能性があります。そのため、この星では、海が暴走温室効果により完全に蒸発しているか、あるいは海が存在したとしても、非常に海水温が高く、いわゆる植物プランクトンの増殖による赤潮が大発生しているかもしれません。想像図では、海が蒸発せず、赤いプランクトンに覆われ、さらに硫酸塩還元菌によって硫化水素が大量発生し海水がピンク色となった、いわゆる「海洋無酸素事象 OAE 」の海をイメージしました。

Kepler-560bの想像図 (Image Credit: Shione Fujita, Habitable Research Group SGH Moriyama High School )

Kepler-560bの想像図 (Image Credit: Ryusuke Kuroki, Natsuki Hosono and Yosuke Yamashiki, GSAIS Kyoto University )

ただし、公転周期がわずか18.5日であるため、ケプラーが発見したハビタブルなスーパーアースの中では地上観測の対象となりうる可能性があり、主星も視等級12.3等星であるため、観測可能といえます。

Kepler-560 b についての詳しい情報はこちら。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/Kepler-560_b.html

(文責 山敷庸亮)

1SWASP J1407b

1SWASP J1407 bの想像図 (Image Credit: Shione Fujita, Habitable Research Group SGH Moriyama High School )

1SWASP J1407 b (J1407 b) は、ケンタウルス座に位置し、地球から434光年離れたK 型星 1SWASP J1407 (J1407) の周りを周回する20木星質量以上のスーパージュピターサイズ(別説によると80木星質量以上の褐色矮星サイズ)の太陽系外惑星です。主星のJ1407で2007年に非常に複雑な「食」が観測され、食の原因は周囲を巨大で複雑なリングを持つ惑星「1SWASP J1407b」が回っているためと考えられ、J1407 bは太陽系外惑星で最初に輪が発見された惑星・あるいは系外土星として知られています。

(1SWASP J1407 b の位置 ExoKyoto Stellar Window を利用 Zoom Level 3)
1SWASP J1407 は0.9 太陽質量のK型星で(半径は推定0.99 太陽半径)、この星のハビタブル・ゾーンは太陽系よりやや内側に位置しています。
この星のハビタブル・ゾーンは太陽系相当天文単位(SEAU)によると、
金星相当軌道 0.415 天文単位
地球相当軌道 0.574 天文単位
火星相当軌道 0.875 天文単位
Kopparapu et al.2013によると
内側境界Recent Venus 0.460 天文単位
地球サイズ惑星の暴走温室限界 0.582 天文単位
外側境界最大温室限界1.084 天文単位

J1407 b の平均公転軌道半径は3.9 AU ですので、ハビタブル・ゾーンから外れており、木星のような環境に位置すると考えられていましたが、スティーヴン・リーデェル 理化学研究所(AICS) 特別研究員 らによると、離心率が0.65で、最も接近する時は中心星から2AUまで近づくようです。
この星のリングシステムは、その半径が1AUにも及ぶ巨大なもので、さながら主星J1407の周りを、巨大な褐色矮星J1407 bが惑星(衛星)といくつものリング(アステロイド・ベルト)を伴って自転しているようにも考えられます。また、スティーヴン・リーデェル氏らによると、このリングは公転方向と反対に回転していないと安定して存在しないことが解明されており(1)、その意味でも<不思議>に満ちた星であるといえます。


1SWASP J1407 bの想像図 (Image Credit: Haruka Inagaki, Habitable Research Group SGH Moriyama High School )

公転周期は11年(別説によると10.2年) であり、主星は視等級12.4等星であるため、地上観測可能な天体であり、次にトランジットが起こるであろう2018年に詳しくその<リング>の正体が解明されることが期待されている。

1SWASP J1407 b についての詳しい情報はこちら。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/1SWASP_J1407_b.html

(文責 山敷庸亮)
(1)理化学研究所(理研)計算科学研究機構粒子系シミュレータ研究チームのステーヴン・リーデェル国際特別研究員とライデン天文台のマシュー・ケンワージー准教授の国際共同研究チームは、初めてリングを持つ系外惑星[1]として発見された「J1407b」のリングが、その巨大さにも関わらず主星[1]「J1407」の潮汐力[2]によって破壊されずに存在しているメカニズムをシミュレーションにより解明しました。
今回、国際共同研究チームは、コンピュータシミュレーションでJ1407bのリングが破壊されるかを調べました。その結果、J1407bのリングの回転が公転と逆向きだと、リングが10万年以上にわたって存在できることを突き止めました。一方、土星のリングと同じように公転と同じ向きの回転だと、数十年でリングはかなり小さくなってしまうことが分かりました。本研究によって、系外惑星のリングには、私たちが想像もしていなかった“巨大かつ回転が公転と逆向き”というものがあることが明らかになりました。(理化学研究所のプレスリリースより)
http://www.riken.jp/pr/press/2016/20161102_4/

16 Cygni Bb

16Cygni Bb (もしくはHD 186427 b) は太陽系から約69.8光年の距離ではくちょう座に位置する16 Cygni Bを周回する系外惑星である。この星は1996年に発見・公開された木星サイズの惑星で検出方法は視線速度(ドップラー)法である。主星である16Cyg Bは視等級が6.2で、絶対等級は4.5と、裸眼や双眼鏡で確認可能な恒星である。16 Cyg Bは太陽とほぼ同じ質量と半径で、表面温度は5766ケルビンでスペクトル型はG2.5Vと、典型的な太陽型星といえる。そのためハビタブル・ゾーンの位置は太陽系のそれとほぼ同じと考えて良い。

この恒星の惑星系で、16 Cyg Bbは16 Cyg Bの周りを公転周期799.5日で、軌道長半径は1.68天文単位で公転している。16Cyg B のハビタブル・ゾーンは、太陽系相当天文単位(SEAU)を用いると
金星相当放射を受ける軌道半径である内側境界は0.706天文単位
地球境界(地球相当放射を受ける軌道半径):0.976 天文単位
外側境界(火星相当放射を受ける軌道半径): 1.487天文単位(290,008,637.3 km)
スノーライン(雪線)相当放射を受ける軌道半径2.188天文単位
平均公転半径での惑星境界中心星からの放射が461 W/m2
また、Kopparapu et al. 2013 による暴走温室限界半径は0.953天文単位
である。

この惑星の離心率は0.68 で、この金星相当の内側軌道とスノーラインの外側をほぼ2年で一周するため、この惑星に地球サイズの衛星(Lunar Cygni (L cyg)とする)が存在するとすれば、軌道位値による極端な季節が存在するだろう。例えば、金星相当軌道内側に至れば、海は蒸発し、一部の地域では乾燥した真っ赤な表面になるかもしれないし、あるいは金星のように厚いCO2大気層が急激に形成され、その温室効果で地表が超高温の溶岩地形になるかもしれない。スノーラインの外側では水が凍り、一面真っ白な世界となるだろう。ハビタブルゾーン(ゴルディロックスゾーン)を通過する際に、いわゆる地球の春のような環境になる可能性もある。L cygではこれらがほぼ数ヶ月〜半年ごとに入れ替わる、非常に極端な環境をもつ衛星となるであろう。

(Lunar Cygni の夏(金星相当軌道内側) Credit: Miu Shimizu and Rina Maeda, Habitable Research Group SGH Moriyama High School )

(Lunar Cygni の冬(スノーライン外側) Credit: Miu Shimizu and Rina Maeda, Habitable Research Group SGH Moriyama High School )

(Lunar Cygni の春(ハビタブルゾーン) Credit: Miu Shimizu and Rina Maeda, Habitable Research Group SGH Moriyama High School )

(文責:山敷・稲垣・清水・前田)

16 Cygni Bb について詳しい情報はこちら

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/16_Cyg_B_bJP.html

WASP-12b

<WASP-12bの想像図 credit: Haruka Inagaki, Habitable Research Group SHG Moriyama High School >

WASP-12bは、2008年に発見された、太陽系からおよそ1410光年のところにある系外惑星です。質量が木星の1.47倍、半径が木星の1.90倍の巨大ガス惑星ですが、主星であるぎょしゃ座WASP-12からわずか0.0229AU(約345万km)の位置にある「ホットジュピター」です。これまでに数多くのホットジュピターが発見されていますが、その多くは公転周期が2,3日程度であるのに対し、WASP-12bの公転周期は1.09日と、数あるホットジュピターの中でも特に「熱い」惑星と言えます。その一方で、可視光線の94%を吸収してしまう「暗い」惑星でもあります。

この惑星は潮汐ロック状態,つまり地球の月と同様に主星に対して常に同じ面を向けた状態になっています。表面温度は夜側が1500Kであるのに対して昼側は2800Kと非常に高温で、これは主星からの輻射だけでなく、潮汐力の影響を受けています。潮汐力は、地球と月の場合では潮を満ち引きとして観測されますが、WASP-12bの場合は主星と非常に近いため、惑星全体がラグビーボールのような形状に歪められるほど強力で、この強い潮汐力による潮汐加熱が高い表面温度の原因の一つになっています。

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<ExoKyotoを用いて表示したWASP-12bの予想温度と、今までに見つかった系外惑星の推定温度・主星の温度との比較図。*この図ではアルベドを0.3と仮定しているため、実際の温度(2580K)よりも若干低く見積もられている>

また、この潮汐加熱によって惑星内部の温度が上昇することで、惑星大気が木星半径の約3倍まで膨れ上がっており、Shu-Lin Li氏(北京大学)の、「惑星内部の潮汐加熱による惑星の膨張」(Li et al, 2010. Nature)の予言が証明されました。

WASP-12bの重力では、この大きく膨張した大気を留めておくことはできず、主星の重力によって惑星から大気が剥がされて主星に降着していることが、ハッブル宇宙望遠鏡のCosmic Origin Spectrograph(COS)によって観測されています。惑星から剥がされた毎秒60億トンもの質量は、主星の周りに円盤を作りながらゆっくりと降着しています。このように天体間で質量がやりとりされる現象は一般的に近接した連星系で見られていましたが、惑星で観測されたのは初めてです。

WASP-12bは、現在のペースで大気が剥がされていくと今からわずか1000万年以内にガスをすべて失ってしまうとも言われています。ただ人類の歴史に比べれば遥かに長い時間ですので、我々人類がその結末を見る事が出来るかは不明ですが…

(文責:山中陽裕・野津翔太・清水里香)

wasp-12b

<WASP-12bの想像図 credit: Ryusuke Kuroki, Yosuke Yamashiki, Natsuki Hosono>

WASP-12bについての詳しい情報はこちら

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/WASP-12_b.html

参考情報

NASA “Hubble Finds a Star Eating a Planet”

<https://www.nasa.gov/mission_pages/hubble/science/planet-eater.html> (2020/3/16)

HUBBLESITE “NASA’S HUBBLE CAPTURES BLISTERING PITCH-BLACK PLANET”

<https://hubblesite.org/contents/news-releases/2017/news-2017-38.html> (2020/3/16)

GJ504b

GJ504bの想像図 (Image Credit: Shione Fujita, Habitable Research Group, SGH Moriyama High School)

GJ504bは地球からおとめ座方向に約60光年のところに位置する惑星です。太陽型恒星GJ504から44天文単位の領域を公転周期約100年で周回しています。
その大きさが木星と似た木星型惑星であることから第二の木星とも呼ばれています。また、赤外線波長で17~20等というGJ504の60万分の1以下の見かけの明るさしかありません。

2013年にハワイ・マウナケア山にあるすばる望遠鏡が、GJ504bの直接撮像観測に成功しました。
観測には2009年に搭載された新型コロナグラフカメラ HiCIAOと、地球大気による星像の乱れを補正することで高解像度を達成する補償光学装置が使われました。
また、この惑星は日本の研究チーム(すばる望遠鏡 SEEDS プロジェクト)により発見された歴史的な惑星です。大気中の雲が少ないのが特徴で、近くで見るとピンク色に見えるとも言われています。

一般に直接撮像惑星観測では、惑星の質量は明るさと年齢に基づき進化モデルを介して推定されます。一般に直接撮像観測の場合、トランジットで発見された惑星の分布などとは異なり、若く明るい惑星の方がより多く発見されている傾向があります。しかし若い直接撮像惑星の進化モデルにはまだ不確定な所があり、推定される質量が用いたモデルによって大きく異なるという結果が出てしまいます。一方でGJ504bの場合、年齢が1-5億年前とそれなりに歳を重ねているため、従来よりも質量が精度よく求まり、より高い信頼度を持って木星型惑星である、と結論づけられています。

参考文献:Kuzuhara, M., et al. 2013, ApJ, 774, 11
http://adsabs.harvard.edu/abs/2013ApJ…774…11K

(文責・高木風香 野津翔太)

gas1p

GJ504bの詳しい情報は以下のリンク

http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_504_b.html

HR 8799 b, c, d, e

図1 HR 8799bの想像図と、遠くに見えるA型星 HR8799 (Y.Yamashiki, R.Kuroki & N.Hosono)

2008年11月、地球から128.5光年(39.4 pc)離れたペガスス座にあるA型主系列星HR8799星の周りで、HR8799bという木星の7倍程度の質量を持つ太陽系外惑星が発見されたという報告がなされました(図1:想像図)。観測はハワイにあるケック望遠鏡、ジェミニ北望遠鏡、そしてハッブル宇宙望遠鏡を用いて赤外線で行われており、同時にHR8799c, HR8799d, HR8799eという木星の10倍程度の質量を持つ惑星も見つかりました(図2,図3)。これらは直接撮像観測という、惑星自体の光を直接捉える手法で発見された初めての惑星たちとして有名です。

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図2 HR 8799dの想像図と、遠くに見えるA型星 HR8799 (Y.Yamashiki, R.Kuroki & N.Hosono)

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図3 ExoKyotoで描いたHR 8799恒星系システムとそのハビタブルゾーン(SEAU, 赤色が金星相当軌道、緑色が地球相当軌道、水色が火星相当軌道、青がスノーラインを示す。それぞれの惑星(e-b)推定軌道は紫色)

2010年にはHR8799の周りに、同じく直接撮像観測で4つ目の惑星HR8799eという惑星も発見されました(Marois et al. 2010, Nature)。
更にこれらの惑星たちの発見を機に、過去の画像を再解析してみたところ、実は1998年のハッブル宇宙望遠鏡の観測画像(図5)と、2002年のすばる望遠鏡の観測画像(Fukagawa et al. 2009, ApJ)にHR8799bが写り込んでいたことが分かりました。

Kepler宇宙望遠鏡で発見された惑星を始め、多くの太陽系外惑星はドップラー法やトランジット法といった間接法で発見されています。
一方太陽系外惑星自体からの光を直接捉える手法(直接法)の場合、惑星発見数は間接法に比べ少なめです。しかし惑星からの光には惑星大気に含まれる分子の吸収や惑星表面(陸、海、森など)の色の情報が含まれており、惑星からの光の分光観測は、惑星大気や表面の環境など、惑星自体の性質を詳細に知るためには欠かせない観測になります。2013年に報告されたHR8799c周りの惑星たちの分光観測からは、大気中の水やメタンなどの存在が示唆されています(Konopacky et al. 2013, Science )。日本でも近年、すばる望遠鏡を用いて太陽系外惑星の直接撮像観測が行われており、今後は京都大学岡山3.8m望遠鏡を用いた直接撮像観測も行われる予定です。

hr_8799_b_stz0

hr_8799_b_stz3
図8 a,b ExoKyoto Stellar Windowにて表示したHR8799の位置 ペガスス座に位置する

(文責:野津翔太)

HR 8799 についての詳しい情報はこちら

HR8799 System
HR 8799 b
HR 8799 c
HR 8799 d
HR 8799 e