HR 8799 b, c, d, e

図1 HR 8799bの想像図と、遠くに見えるA型星 HR8799 (Y.Yamashiki, R.Kuroki & N.Hosono)

2008年11月、地球から128.5光年(39.4 pc)離れたペガスス座にあるA型主系列星HR8799星の周りで、HR8799bという木星の7倍程度の質量を持つ太陽系外惑星が発見されたという報告がなされました(図1:想像図)。観測はハワイにあるケック望遠鏡、ジェミニ北望遠鏡、そしてハッブル宇宙望遠鏡を用いて赤外線で行われており、同時にHR8799c, HR8799d, HR8799eという木星の10倍程度の質量を持つ惑星も見つかりました(図2,図3)。これらは直接撮像観測という、惑星自体の光を直接捉える手法で発見された初めての惑星たちとして有名です。

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図2 HR 8799dの想像図と、遠くに見えるA型星 HR8799 (Y.Yamashiki, R.Kuroki & N.Hosono)

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図3 ExoKyotoで描いたHR 8799恒星系システムとそのハビタブルゾーン(SEAU, 赤色が金星相当軌道、緑色が地球相当軌道、水色が火星相当軌道、青がスノーラインを示す。それぞれの惑星(e-b)推定軌道は紫色)

2010年にはHR8799の周りに、同じく直接撮像観測で4つ目の惑星HR8799eという惑星も発見されました(Marois et al. 2010, Nature)。
更にこれらの惑星たちの発見を機に、過去の画像を再解析してみたところ、実は1998年のハッブル宇宙望遠鏡の観測画像(図5)と、2002年のすばる望遠鏡の観測画像(Fukagawa et al. 2009, ApJ)にHR8799bが写り込んでいたことが分かりました。

Kepler宇宙望遠鏡で発見された惑星を始め、多くの太陽系外惑星はドップラー法やトランジット法といった間接法で発見されています。
一方太陽系外惑星自体からの光を直接捉える手法(直接法)の場合、惑星発見数は間接法に比べ少なめです。しかし惑星からの光には惑星大気に含まれる分子の吸収や惑星表面(陸、海、森など)の色の情報が含まれており、惑星からの光の分光観測は、惑星大気や表面の環境など、惑星自体の性質を詳細に知るためには欠かせない観測になります。2013年に報告されたHR8799c周りの惑星たちの分光観測からは、大気中の水やメタンなどの存在が示唆されています(Konopacky et al. 2013, Science )。日本でも近年、すばる望遠鏡を用いて太陽系外惑星の直接撮像観測が行われており、今後は京都大学岡山3.8m望遠鏡を用いた直接撮像観測も行われる予定です。

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図8 a,b ExoKyoto Stellar Windowにて表示したHR8799の位置 ペガスス座に位置する

(文責:野津翔太)

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投稿者: exoplanetkyo