(GJ1132bの想像図   画:清水海羽 守山高校ハビタブル研究会)

 

これまでにたくさんの系外惑星が発見され、その幾つかには大気が存在することがわかってきました。しかし、それらはいずれも木星のような巨大ガス惑星でした。ところが、今回大気の存在が確認されたGJ1132bは、地球とほとんど同じ大きさの「地球型惑星」です。地球から39光年先にあるM型星GJ1132を周回するこの惑星は、地球のおよそ1.4倍のサイズと1.6倍の質量を持っています。なお、この惑星は2015年にすでに発見されており、金星と似た惑星ではないかと推測されていました。

では、一体どうしてこの惑星が大気を持っているとわかったのでしょうか。系外惑星の大気の観測は、「トランジット観測」という手法を用いて行われます。これは、恒星の前を惑星が横切った際に、我々観測者に届く恒星からの光が遮られて弱くなる現象を利用した手法です。横切る惑星のサイズが大きいほど、この減光率は大きくなります。太陽系で言えば、月や金星が太陽からの光を隠す現象、すなわち「日食」にあたります。(つい先日、アメリカ大陸での日食が話題になりましたね)ところが、この減光率が観測する光の波長によって異なる場合があります。これは、光の波長によって惑星が遮る領域のサイズが異なることを意味します。つまり、ある波長の光は透過し、別の波長の光は通さないような物質が、惑星の表面に纏わり付いていると考えられるのです。そのような物質は、ガス、つまり大気であると考えるのが妥当でしょう。

今回、様々な波長の光でGJ1132bによるGJ1132の減光率を観測した結果、全波長で平均した「惑星大気の半径」は1.43±0.16地球半径であるのに対して、固体部分(つまり惑星の「地表」)の半径は約1.375地球半径であるとわかりました。さらに、特定の波長の「惑星大気の半径」が大きいことから、この厚い大気は水蒸気とメタンを含んでいることがわかりました。

このような、大気(しかも水蒸気とメタンを含む)と地表を持った地球型惑星には、生命が存在しているかもしれません。しかし、残念ながらGJ1132bの表面温度は370℃もあると推測され、生命が存在するのは難しそうです。一方で、M型星は地球の周りにたくさん存在しており、似たような惑星が今後見つかることが期待されます。
(文責:芝池諭人)

GJ 1132 bについての詳しい情報
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/GJ_1132_bJP.html

参考文献
The Astronomical Journal (2017): “Detection of the Atmosphere of the 1.6 M_⊕ Exoplanet GJ1132b” John Southworth1, Luigi Mancini, Nikku Madhusudhan, Paul Mollière, Simona Ciceri, and Thomas Henning (http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/aa6477/meta)
BBS NEWS, Science & Environment: Atmosphere found around Earth-sized planet GJ 1132b (http://www.bbc.com/news/science-environment-39521344)
sorae.jp,天文: 地球サイズの系外惑星「GJ1132b」に大気 水の存在の可能性も(http://sorae.jp/10/2017_04_07_taiki.html)


(ExoKyoto Stellar Mapを用いて表示したGJ 1132 bの位置)


(ExoKyoto Stellar Mapを用いて表示したGJ 1132 bの位置 Zoom Level 3)