HD 164595 b は、2015 年に Courcol ら によって発見された、太陽系から 94 光年(28.9 pc)離れた距離にある海王星サイズの系外惑星です。
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(Imaginary Picture of Warm Neptune HD164595 b)

中心星 HD 164595 は、太陽と同じ G 型星(G2V)で、表面温度は 5790 度、質量は 0.99 太陽質量と、太陽とほどんど同じです。そのため、HD 164595 恒星系のハビタブルゾーンは、太陽系とほとんど同じ位置にあると考えられます。それに対して、HD 164595 b は軌道長半径 0.23 天文単位(3441万km)と、水星軌道より随分内側を公転周期 40 日で一周し、質量が地球の 16 倍、半径が地球の 4.17 倍という、熱い海王星(Hot/Warm Neptune)だと考えられます。表面温度の計測結果はありませんが、惑星のアルベドを 0.3 と仮定すると、黒体温度が 531 ケルビン(摂氏258℃)と相当高くなり、地球型生命が住むには不適切な環境ではないかと想像できます。例えばこの惑星が大型の衛星を有していたとしても、その公転軌道(離心率は低い)から、ハビタブルゾーンに位置するのは困難であると考えられます。

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(Imaginary Picture of Warm Neptune HD164595 b orbiting around its Host Star HD164595)

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(ExoKyoto(アプリ版) による HD 164595 中心星の表示画面。中心星はG型星(G2V)で、その大きさの比較が、下の段の4つに記されています。左からハビタブル・ゾーン惑星が見つかったProxima Centauriとの比較、二番目が太陽との比較(大きさがほとんど同じ)、三番目がふたご座のポルックス(Pollux)との比較、一番右側がオリオン座のリゲル(Rigel)との比較)。ハビタブル・ゾーンの表示は、太陽系相当天文単位(SEAU)で、赤い線が金星軌道相当線、緑が地球軌道相当線、青が火星軌道相当線、で、この中心星データからの推定値では、ほとんど太陽系と一致しています)
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(ExoKyoto による HD 164595 の公転軌道とハビタブル・ゾーン(Kopparapu et al. 2013 による)の表示。金星相当軌道より内側にあることがわかります)

2016 年に、この恒星系から11GHzの電波シグナルが観測されたとの発表がありました。
(CNN News)
(Wired日本語記事)

現在、11GHzの電波シグナルの真偽については様々な議論がなされていますが、上述のとおり、このシグナルが「仮に」知的生命体のものであったとしても(1)知的生命体は、この惑星 HD164595 b ではなく、「未発見の」HD 164595 恒星系のハビタブルゾーンに位置する岩石惑星に住んでいるか、(2)地球型以外の(灼熱の環境・あるいは液体の水のない環境で生息できる)知的生命体か存在するか、あるいは(3)このシグナルが知的生命体が発信したものではないか、(4)Vakoch らが述べているように、重力レンズの作用で他の天体からの電波が曲げられたか、あるいは(5)観測エラーか、のどれかであることが考えられます。

また、HD 164595 は、ヘラクレス座(ケプラー観測領域のはくちょう座とこと座周辺)に位地し、夏から秋の夜空で観測することが可能なため、興味のある方は望遠鏡を向けて観測されることをお勧めします。

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(ExoKyoto Stellar Window を用いた HD 164595 の天球上の位置表示)

HD 164595 b についての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
http://www.exoplanetkyoto.org/exohtml/HD_164595_b.html

(文責:山敷庸亮)